暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
英雄達の凱旋歌
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気配はない。

───リョロウにーちゃんの十八番(おはこ)の心意防御か………

仮想の重力に従って落下しながら、レンはそんなことを思う。

《宵闇の軍神》リョロウの得意とする心意防御、さすがに硬い。今のレンならば、あれを真正面から突破することは困難だろう。

同時に────

地面に着地したレンを迎え撃ったのはセイだった。

空中に残光を残すがごとき太刀筋で、レンに迫る。

《暗闇の瞬神》セイの得意とする心意は、二つ名からも分かるように《移動速度拡張》だ。

時々物理法則と真っ向から対立するような移動法をするので、速さだけでは勝っているレンでも油断はできない。

眼前に迫る刀身をレンは避けずに、思いっきり手を合わせるようにして受け止めた。俗に言う、真剣白羽取りである。

真剣白羽取りは、リスクが大きすぎるために敬遠されがちだが、その実対武器保持者戦でのメリットは計り知れない。

何せ、刀と言う武器は基本的に薙いで相手にダメージを与える物だ。手に挟まれてまったく動かせない状態では、相手への殺傷力など無にも等しくなる。

「くっ!!」

だが、レンは顔を歪ませた。

手の中にしっかりと納まっている片手剣、固有銘《スターチェイサー》の刀身が、徐々に、しかし確実に食い込んできているのだ。必死に目を凝らすと、その鏡のように磨き上げられた刀身にはうっすらと薄緑色の過剰光が。

───このままの硬直状態でも、不利なだけか………!

一瞬でそう判断したレンは、挟み込んだセイの片手剣を思いっきり左手にねじり、わざと自らの生み出した硬直状態を解いた。

一瞬の刹那、交錯する互いの目線。

レンから見たセイの目は、このコロシアイの最中にも関わらず、異常なほどに静かで、そしてどこまでも透き通っていた。

ぞわっ、と背筋に冷水をぶちまけられたような悪寒が襲う。

レンはこの瞬間に気付いた。

己の身が狩る側ではなく、狩られる側であると言うことに。

嫌な汗が、あごを伝う。

それを振り払うように────

「う、おわああぁぁぁああああああぁぁああーっっっっっっ!!!!!」

レンは絶叫し、己を狩る者達を葬るべく鋼糸(ワイヤー)を振るった。










「凄いな………」

大木の上に立つリョロウは、感嘆したようにそう呟いた。

その隣には、同じく感心したように腕組みをするセイ。

二人の視線を、全く同じ方を向いている。

その先には、絶叫しながら辺り一帯を見境なしに攻撃している《ヒト》がいた。ソレが放つ攻撃のせいで、もう何十本の大樹が犠牲になったのだろうか。

まったく、現実世界でやれば自然保護団体が黙っていないような光景だ。常識を逸脱し
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