暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第40話 MMOの本質
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 カップで乾杯をした後、シリカは、ゆっくりとグラスを自分の口元へと持っていく。注がれているカップの中身を、口の中に一含みし、喉に通していく。

「わぁ……美味しい、です」

 スパイスの香りと甘酸っぱい味わいは……遠い昔、父親が少しだけ味見させてくれた とても甘いワインに似ていた。でも、不思議だった。2週間の滞在でこのレストランのメニューにある飲み物は一通り試したのだが、この味は初めてだったから。

「あの……これは?」
 
 シリカそう聞くと、キリトは笑顔で答えてくれた。

「NPCレストランは、ボトルの持ち込みも出来るんだよ。俺の持っていた《ルビー・イコール》って言う飲料アイテムさ。カップいっぱいで、敏捷力(AGI)の最大値が1上がるんだぜ」
「え、ええ! そっ……そんな貴重なものを……」

 思わず、慌ててカップを置いた。沢山もらったのに返せていないのに、と シリカは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「ん、酒をアイテム欄に寝かせてても味が良くなるわけじゃないしな。オレ……知り合い少ないから、ワインを開ける機会があまりないんだ」

 そう言うと、キリトは少しだけ おどけたように肩を竦める。
だが、リュウキは真顔で。

「……まぁ確かにな」

 横でワインを楽しんでいたリュウキも同意するが、やっぱり、普通の顔だ。
 その顔を見ているとキリトは余計に感じる事がある。

「同意すんなよリュウキ。同意されると、切な過ぎるだろ……」

 キリトは、更に肩をすくめていた。これには、おどけている様子は無く……素だった。リュウキは大して気にしていない、気にした事なんか、無い見たいだ。

「……ん? どうした? 少ないからこそ、こういう場面で思い切り使った方が良いんじゃないか? それに未成年が飲めるなんてここくらいだ。……だが、酒とは楽しむものだろう?」

 リュウキはそうも言っていた。
 キリトが、《切なくなる》と言った理由が判らなかったんだろう。それに、リュウキ自身もワイン、酒類を飲んだ事は無い(あたりまえだ!)が、 飲む、そう言う雰囲気なのは知っていたのだろう。どうやら、別にリュウキは、キリトの事をからかっていたわけでもなさそうだ。

「あはははっ! そうですねっ」

 シリカはそんな2人のやり取りを見ていて、笑顔が戻ってきた。さっき、嫌な事を思い出していたが……、それも吹き飛ぶようだった。それほどまでに、今の2人と一緒にいるこの空間が好きになっているのだ。会って間もないと言うのに。

(凄く……温かい。この人たちと一緒にいたら……、とても……)

 シリカは、今大切なピナを失って、物凄く辛いはずのに。2人はそのぽっかりと空いた大きな穴を、悲しみを和らげてくれる。でも、それでも
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ