第三十話 ロゴスを討て
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最大幸福を目指したいというなら討つのはあながち間違いでもないだろう。尤も、それはザフトからしてみた話かもしれないが。
「自分にとっての真実だと?」
「そうだよ。真実とは常に己の主観が入り混じるべきものだ。何故ならそれは人は己の価値観の総てを他者と共有する事が出来ないのだからね」
それっきり黙りこむクラウとマーレ。己にとっての真実なんて色々ある。コーディネーターもナチュラルも互いを人間だと認めないことだって一種の真実だ。遺伝子的に見ればナチュラルにとっては人類と言えないかも知れないのだし、コーディネーターだってナチュラルは旧人類だとでも思ってるのかもしれない。
だからこそ、自分で考えることは重要だ。
「君はどういう答えを得るんだい?マーレ・ストロード」
僅かではあるが覚醒している彼は人の枠を越える新たな存在となるのかもしれないのだから。
◇
「君が教えてくれなかったら危なかったかもしれないな」
《いえいえ、当然の事をしたまでです。寧ろ、事前に察知しておきながら、止めることが出来なかったことが申し訳ないと思っています》
ブルーノ・アズラエルはデュランダルが放送する前に、既に邸宅から脱出していた。例の諜報部隊から事前の知らせを受けていたからだ。恩を売る為に幾人か関係の深い人物には情報を売り渡したが、一部はそれを受け入れず手遅れになった相手もいたようだ。
「しかし、ますます君の正体が気になるよ。如何に一族を失ったとはいえ、我々ロゴスですら感知できなかった情報を持ってきたのだからね」
《申し訳ないですが、それは企業秘密というものです。ですが、あなた方には勝ってもらわないとこちらとしても困るので》
つまり、有益でなくなればこの情報を送ってきた人物は切り捨てると、密かにそう言っているのだがブルーノはそれに気付かない。彼は企業の人間としては優秀なのだろうが、文字によって感情が読み取れないこの発言の本当の意味を知る事は出来ないのだろう。故に、彼はただの操り人形に成り下がることは明白だということだった。
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