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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第三十七話 救済
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帝国暦487年  10月 25日  オーディン  ブラウンシュバイク公爵邸   ワルター・フォン・シェーンコップ



「どうでしょう、リューネブルク大将からも聞いていると思いますが帝国で仕官しませんか。フィッツシモンズ中佐もそれを望んでいると思いますが」
「その件についてはお受けできませんな。ハイネセンには小官を信じている部下達が居るのです。彼らを裏切ることは出来ません」

俺の答えにブラウンシュバイク公は特に不満そうな表情は見せなかった。俺がどう答えるかはリューネブルクから聞き出していたのだろう。それにしても妙な男だ、反乱軍の捕虜を自宅に招いて仕官を勧めるとは……。捕虜と言うより賓客の扱いだな。リューネブルクの話では公は俺を高く評価しているとの事だが嘘ではない様だ。その事に悪い気はしないが仕官は出来ん。

テーブルを挟んで向かい合わせに座っているが公の後ろには軍人が二人立っている、護衛の様だ。二人は緊張しているがブラウンシュバイク公は穏やかな雰囲気を身に纏っている。二人を信用しているのか、それとも俺を信用しているのか……。判断に迷うところだ。

「しかし同盟軍が敗北を認めると思いますか? 素直に認めるとは思えませんが」
「……」
ブラウンシュバイク公が首を傾げている。確かにそうかもしれない、リューネブルクもそれを案じていた。だが、だからと言って帝国に仕官すれば連中の主張が正しかったという事になってしまう。同盟に戻ったローゼンリッターは肩身の狭い思いをするだろう。

「まあだからと言って帝国に仕官と言うのも難しいかな」
「そうですな」
「心配でしょう、ハイネセンに残された仲間が」
「……」

揶揄するような口調ではなかった。
「一度、ハイネセンに戻りますか?」
「はあ、……戻ると言うと」
「戻りたいでしょう?」
「まあ、それは……」
俺の返事にブラウンシュバイク公が頷いた。

「フェザーン経由でハイネセンに戻っては如何です。もちろんあなた一人ですが」
「……」
どういう意味だ? 後ろの二人も妙な顔をしている。
「ハイネセンに戻って部下達の様子を見てはどうです。可能なら軍上層部に自分の無実を訴えても良い」

「……本気ですかな」
「ええ」
「戻って来ないかもしれませんぞ」
「捕虜になっている部下を見捨ててですか? まあそれも良いでしょう、出来るのならですが」
やれやれだな、こっちの事は御見通しか。思わず苦笑が漏れた。

「期間は半年という事にしましょう。往復に四カ月ほどはかかるでしょうからね」
「二カ月もハイネセンに居て良いのですか?」
「色々と会いたい人とか居るでしょう? 私はこれでも親切なのですよ」
「なるほど」
今度は揶揄が有った。見かけによらず人が悪い。苦
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