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渦巻く滄海 紅き空 【上】
五十七 閉幕
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シンの気配が完全に消えたのを確認してから、ナルトは改めて里を一望した。壊滅は免れたものの甚大な被害を受けた木ノ葉を瞳に映してから、やにわに呟く。


「…―――来た」


里を取り囲む外壁。そこを振り仰いだナルトは、どこからか聞こえた鈴の音に苦笑を漏らした。

足下の水溜り。重なり合った波紋がぶつかり合って消えてゆく。まるで最初から空のみを映していたかのように水面は静寂を湛えていた。

木の葉が一枚、水溜りに墜ちるその瞬間まで……―――――。
















「…―――被害は甚大のようですねぇ…。あの三代目火影まで亡くなるとは…」

リィン…と涼しげな音が奏でられる。木ノ葉の里を俯瞰して、二人の男がしみじみと嘆息を零した。
「……栄華を極めたあの里が…―――憐れだな」
独り言のように呟かれた一言に、男はおや、と意外そうに訊ねる。

「柄にもない。故郷はやはり、未練がありますか?」
「………そうだな……」
片割れの男の問い掛けに、彼は笠を目深に被り直した。鈴が再びリィン…と美しく鳴いた。



「……懐かしき顔には、感慨があるかな…」
笠の陰から覗き見える紅き瞳には、静かな波紋が渦巻いていた。

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