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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十九話 末路
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るのではないかと疑っていると察したんだ。我々がその件で同盟と協力している事も想定していたかもしれない。そして同盟では主戦派のクーデターが失敗していた』
「……同盟を地球教団がコントロールすることなど不可能だと判断しただろうな」
俺の言葉にエーリッヒが頷いた。

『いずれ地球教団は弾圧される、弾圧された地球教団がフェザーンへ逃げて来るだろうと判断するのは難しくない。そうなればフェザーンは不穏分子の巣窟になるだろう。帝国も同盟もそれを許すほど甘くはない、ルビンスキーはそう考えたはずだ。自分の身が危険だと考えた、場合によっては地球教団が自分を生贄にして生き残りを図るかもしれないと考えたかもしれない』

「なるほど、ルビンスキーにとって地球教団がフェザーンに来ることは百害有って一利無しか……」
『その通り、自分一人なら逃げられるだろうが地球教が来ては共倒れになりかねない、そう考えたんだ。だから寝返った』

「……ルビンスキーにとって地球教団は邪魔以外の何物でも無かった……」
『地球教団は自分達こそがルビンスキーの主だと思っていただろうけどね』
エーリッヒの声には皮肉が満ちていた。傲慢は馬鹿と同義語か、かつての門閥貴族がそうだった。傲慢故に現実が見えなくなっていた。

『ルビンスキーは帝国がフェザーンに攻め込みたがっている事、その名分を欲しがっている事を見抜いていたと思う。寝返ればそれが条件として求められるとね』
「地球教団がフェザーンに根拠地を置こうとするのは止められない。ならばそれを利用しようと考えた……」

『その通りだ。地球教団は後が無い、ちょっと追い詰めれば、いや追い詰められたと思わせれば簡単に暴発するだろう。その後は帝国軍が彼らを始末する。ルビンスキーは自らの手を汚すことなく邪魔者を始末できるんだ。しかもフェザーン侵攻の名分を帝国に献上してね。教団は滅びルビンスキーは生き残る……』

会話が途絶えた。エーリッヒは穏やかに笑みを浮かべている。一体何を考えているのか……。
「エーリッヒ、ルビンスキーの始末だが……」
『焦ることは無いさ、今回は上手くしてやられたがこちらも不利益を被ったわけじゃない。地球教団は叩けたしフェザーン侵攻の名分ももう直ぐ手に入る』

「ではその後か……」
エーリッヒがゆっくりと首を横に振った。
『用心しているよ、ルビンスキーは。騒乱の最中、その後は一番危ういところだからね。彼を始末するのはその後の方が良いだろう。帝国軍がハイネセンに攻め込んだあたりかな』

「皆の視線はハイネセンに向いているだろうな」
『地球教団の残党か、或いは彼の裏切りを許せなく思うフェザーン人か、彼を恨んでいる人間を探すのは難しい事じゃない』
確かに難しい事じゃない。問題はルビンスキーの始末だな、一度ギュンター
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