暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十九話 末路
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
わめいた。
『その資料には帝国が地球教団を帝国の公敵として認定した事とその理由、更に捜査の状況が記されていました。帝国は地球教団が帝国だけではなく同盟にとっても危険である、そう考えて資料を送って来たのではないかと私は判断しています』
ざわめきが更に大きくなった。

「随分と騒いでいるな」
「当然だろう、ホアン。帝国も同盟も地球教を認めないと言ったも同然だからな」
「まあそうだな」

『それは一体どういう内容の資料なのでしょうか』
今度は別な男だ。興奮して喰い付きそうな表情をしている。
『帝国政府が地球教団に対して強制捜査に踏み切ったのは地球教団が帝国軍宇宙艦隊司令長官、エーリッヒ・ヴァレンシュタイン元帥の暗殺を計画しているのではないかという疑いを持ったためです』
どよめきが起こった。地球教団が帝国屈指の実力者を暗殺しようとした、大ニュースだろう。

『強制捜査の結果、帝国でも地球教団は銃火器を用いて抵抗し教団関係者約百五十人が死亡、政府側でも三十人程が死亡したようです』
彼方此方から溜息のような音が聞こえる。同盟でも帝国でも異様としか言いようの無い事件が起きた。どう判断して良いのか戸惑っているのかもしれない。

『制圧後押収した資料から帝国は地球教団がヴァレンシュタイン元帥の暗殺を計画していた事、更に過去二回有った暗殺未遂事件、一度は内乱勃発時、もう一度は内乱終結後に起きたものですがその二つの事件にも地球教団が密接に関与していた証拠を得たようです』
プレスルームがざわめいた。同盟でもあの内乱勃発時の暗殺未遂事件は大きく報道された。出兵騒ぎの原因でもある。

『ヴァレンシュタイン元帥は軍の重鎮というだけでなく現在帝国で行われている改革の推進者でもあります。帝国では地球教団は帝国を混乱させるために元帥を暗殺しようとしたのではないか、そう分析しています。私もその分析は正しいと思っている』

『何のために混乱させるのです、その目的は?』
姿は見えないが、若い女性記者の声だ。
『それについては現在調査中のようです。何か分かればこちらに連絡が有るでしょう』
地球討伐でフェザーンとの関係が見えてくれば……、だがその時には天地がひっくり返るほどの騒ぎになるだろう。今日の会見など子供騙しにもならない。

静まり返る中、最初に質問した眼鏡がまたトリューニヒトに問い掛けてきた。
『先程トリューニヒト議長は地球教団が暴力主義的破壊活動を行った疑いが有ると言われましたがそれはヴァレンシュタイン元帥の暗殺の事でしょうか?』
意気込んでいるな、帝国元帥の生死など同盟にとっては暴力主義的破壊活動とは関係無いとでも言いたいのだろう。だがトリューニヒトはそうではないと言うように首を横に振った。

『帝国が送ってきた資料には他にも看過出
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ