第二十四話 デストロイ
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
ステラの治療(再調整)を終えたクラウはラー・カイラムでディオキアを発ち、ジブラルタル基地に向かっていた。しかし、アフリカ経由で移動する予定だったのだが、ベルリンに敵が現れたため、そちらに向かうように命令されていた。
「一体何があったんでしょうな?」
ラー・カイラムの艦長席で座るグラスゴーがクラウにそう尋ねる。明らかに不機嫌な様子だが、まあ理由としては簡単だ。エクステンデットが未だに艦の一室にいるからだ。しかも、拘束こそされているが普通の私室にだ。
艦長としてはクルーに危害が及ぶ可能性のある存在が艦内にいるのだ。しかも、自身が解剖することを要求した相手だ。
「知らないよ。まあ、厄介事なのは確かだろうな。それにしても、ベルリンねぇ……?」
ドイツ料理は好みだし、あそこの女性は若いうちは綺麗どころが揃ってるからな、と下世話なことを考える。使える機体は別途輸送中のリゲルグを除いて数機。一機は鹵獲したガイアで修理もしてないが、残りの数機も実戦では使用してない試作機、まあ一応新型と言えるものだ。
「―――データが転送されました!こ、これは!?」
「どうしたんだ?早く教えてくれ」
「は、はい……ベルリンは連合の大型兵器と思われる機体によって壊滅的被害を受けているもよう!ザフトだけでなく、現地の住民ごと巻き込み虐殺しているようです!」
「何だと!?状況はどうなっている!MS部隊は!?」
グラスゴーがその報告を聞いて焦ったように現状の状況を見定めようとする。クラウは艦長の仕事だと言わんばかりにそのまま腰を下ろして様子を眺めていた。その様子が余計にグラスゴーの神経をささくれさせる。
「それが、ベルリンにいた駐屯部隊は初期の段階でろくに抵抗も出来ずに全滅……外部からも要請され近くにいたものは攻撃を開始したようですが、こちらも攻撃が殆ど通用せず敵の攻撃で全滅したと……そのため機動力が高い我々とミネルバが呼ばれたようです」
馬鹿な、とグラスゴーはうろたえているが、クラウは相手にするのが面倒くさいので放置している。指示待ちをしているクルーには適当に現場に向かえと命令していた。そのうち到着するだろう現場に備え、クラウは席を立つ。
「待て!何処へ行く気だ!?」
「何処って、そりゃ格納庫ですが?俺は技術屋でパイロットですよ。MSの準備をするのは当然でしょう?」
そうやって艦橋から出て行くクラウ。しかし、グラスゴーにとっては、というより指揮官の命令に従う人間には好都合だろう。指揮系統を持つ人間が現場に二人もいれば混乱するのだから。だが、自分が侮られていることは明らかであり気分のいいものではない。
「クッ、侮りおって若造が……」
グラスゴーはクラウにこそこうやって侮られているが、優秀で大胆な指揮官だ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ