暁 〜小説投稿サイト〜
とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、雑談する
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
視界を覆っていた転送光が晴れると、見慣れた広場の風景が目に入ってきた。
第1層主街区『はじまりの街』。
アインクラッド最大の都市であり、新規プレイヤーがSAOにログインした際、最初に降り立つ街でもあり───同時に、このデスゲームが始まった場所でもある。

巨大な中央広場に降り立った僕は、行動可能になるや否や、すぐさま隠蔽《ハイディング》スキルを発動した。
周囲に他のプレイヤーがいないことを確認し、派手に動いてスキルが解除されないように細心の注意を払いながら、そそくさと移動を開始する。

あの《はじまりの日》から、もうすぐ半年。
最も広い面積を誇るこの街は、流石に正式サービス開始直後ほどとまではいかないものの、やはり他の街と比べて活気に満ちているように思える。
道端で談笑するプレイヤーたちを極力避けながら、大通りを抜け、店舗と屋台が立ち並ぶ市場エリアへと足を進めていく。
高レベルの索敵スキルを持つプレイヤーがいないかと不安になりながらも、何とか見つからずに目的地へと辿り着いた。

市場エリアから裏道に入り、少し進んだ所にぽつりと存在する、小さな喫茶店。
店の入口脇に設置されたベンチに、彼女の姿はあった。

「お待たせ」
「うひゃぁ!?ユ、ユノさん!?なんでいっつも突然現れるんですかっ!」
「あ……、ごめん」
隠蔽スキルを解除して、何やらそわそわしていたルシェに声をかけると、珍獣にでも遭遇したかのような驚き方をされてしまった。
毎度のことながら、目の前に突然人が現れるとびっくりするらしい。

「もう。街中では隠れる必要なんてないじゃないですか」
驚かせてしまったことを素直に謝ると、ルシェは拗ねたように頬を膨らませた。

彼女の言うように、普通、街中で隠蔽スキルを発動させる必要性はほとんどない。
というのも、隠蔽スキルというのは、アクティブモンスターから身を隠すために用いられる場合がほとんどだからだ。
尾行や奇襲など、プレイヤー相手に使われる場合もあるのだけれど……この間のゴロツキたちのような例は、至って特殊だといっていいだろう。

「僕もそうしたいところなんだけど……《ユニオン》の人たちとは、昔色々あってさ」
「えー?ユノさん、何したんですか?」
「ちょっと、色々とね……」
《アインクラッド解放同盟》。通称、《ユニオン》。この街を拠点とする、SAOで最大規模を誇るギルドの名称だ。
……そして。ディアベルやキバオウら、第1層におけるボス攻略に参加していたプレイヤーが主要メンバーのギルドでもある。

《ユニオン》の主軸となっているのは、第1層攻略後にディアベルが立ち上げた攻略ギルド《アインクラッド騎士同盟》だ。
そこに、日本屈指のネットゲーム総合情報サイト《MMOトゥデイ》の管理者が立ち上げた《ギ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ