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魔法使いへ到る道
9.子どもが生まれたら犬を飼いなさい
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 玄関へ向けてもう半分以上進みかけていた体を引き戻して、改めて両親のほうに向き直る。
「コイツ、名前は?」
「分からんな。捨てられていた箱にも何も書いてなかったし」
「もうアナタが飼い主なのだから、ケンジが決めていいのよ」
「よし、じゃあ行くぞ、ポチ!」
「わおん!」
 古来より受け継がれてきた定番の名前。すでに手垢がつきすぎてむしろ誰もつけないんじゃないかと考え、以前から常々もし犬を飼うことがあったらこう呼びたいと思っていました。


「わぁー!カワイイー!」
「そうだろうそうだろう」
「本当にケンジくん家で飼うの?」
「うむ。ペットは飼ってみたいと思わなかったわけじゃないからな。棚からぼたもちだ」
「それは、ちょっと違うんじゃないかなぁ……?」
「………………」
「で、アリサはいいのか?触ってもいいんだぞ?」
「……別に。勉強してるし」
「ったく、強がっちゃって。ちらちらこっち見てるのはバレてんだぞ。よしいけ、つぶらな瞳で見つめる、だ」
「わん」
「……なによ、そんなの」
「(キラキラ)」
「……ふ、ふん!そんなの別にどうってことないし!」
「(キラキラ)」
「……だから、その」
「(キラキラ)」
「……えっと、あの」
「(キラキラ)」
「……うう」
「(キラキラ)」
「もー!そんなに見るんじゃないわよー!」
「きゃう!?」
「このこのっ、きれいな目ェしちゃってさ、この!可愛いわねもう!アンタ、ウチの子になっちゃいなさいよ!」
「わー、アリサちゃんすごく楽しそう」
「あいつはワンころが大好きだからな。つかおい、ウチの子を誘惑しないでくれ」
「いいじゃない別に。ほーら、アンタもウチの方がいいでしょー?広いし、ともだちもたっくさんいるわよー?」
「やめろ、お前ん家と俺ん家を比べるな。とにかくその子は渡しません。代わりと言っちゃあなんだが、一緒に遊ぶ時はそいつも連れてくるから。それで我慢しろ」
「むう。しょうがないわねぇ。今日はこのくらいで勘弁してあげるわ」
「明日も明後日も無いからな」
「あ、そうだケンジくん、この子、お名前は?まだ教えてもらってないよ」
「ああ、ポチってんだ。在り来たりだが、逆に新しいと思ってな」
「あれ?でもこの子、女の子だよね?」
「え」
 え。

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