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天変地異 ~The LagunaRise formation~
物語を読む前に

[2]次話
 並行世界、というものを知っているだろうか。

 パラレルワールド、と言った方が聞こえがいいかもしれない。

 今あなたが立っている世界とほぼ同じ世界が、宇宙を突き抜けた一つとなりの宇宙にはあるのだ。しかしそのせかいは、何かが決定的に違っている。

 その違いは、例えばあなたが今日飲んだ飲み物がオレンジジュースではなくバナナ・オ・レだったというようなどうでもいいような些細な違いから、あなたのテストの成績が八十天ではなく百点だったという様な大きなもの、さらにはあなたの性別すらが違うという、あなたにとっては重大なこと。そして、極め付けとしていまだ日本という国が鎖国をしているという世界だってあるのだ。

 かつて、とある偉大な作家が言ったという。

『物語とは、数ある並行世界の一部を垣間見たに過ぎない』

 だからあなたが今まで見てきたいくつもの物語や、これからあなたが見る物語も、もしかしたらどこか遠くの世界では当たり前の、本当の出来事なのかもしれない。

 誰かが思い描いた空想の世界の数だけ、並行世界もある。

 並行世界は、あなたが望めば現れるのだ。


 さて、そんな前置きを差し置いて、ここはあなたが立っている世界を擁する時空からはるか遠く、第ゼロの世界と呼ばれる、基準点となる時空だ。

 この世界から三十六の時空を超えた先にあるその世界が、この物語の舞台になる。

 一つの時空は全部で十二の世界を擁している。

 あなた達もよく知る《地球》。

 そのほかに十の世界が存在し、それぞれに全く違った文明がある。

 そして、その時空の森羅万象を管理すべく存在する、世界の《種》とでもいうべき場所。一つの世界が不要だと判断したら、ここに座する神はその世界を消し去り、そこに新たなる世界を生み出す。

 たった一つ、《地球》という世界のみは万物を総べる絶対の王《カオス》の手により抹消を免れているが。

 
 この時空……第三十六世界の、六番目の世界。

 その時空の神が『ハイマティアス』と呼ぶ世界こそ、この物語――――《天変地異》の舞台になる。

 あなたはこれから、長きにわたるこの『ハイマティアス』にくらすある一族の物語を垣間見ることになる。

 さぁ、扉をくぐる用意はできただろうか。

 それでは、《天変地異》の世界が織りなす、剣と魔法の物語へと出発だ。
[2]次話


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