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死神の勘違い
第三章
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「それは二〇八五年だよ」
「じゃあ遥かに先ですね」
「人間の時間だとね」
 そうなるというのだ。
「かなり先だね」
「じゃあ僕は」
「今は死なないよ」
 十九歳では、というのだ。
「まだまだ先だよ」
「そうですか」
「よかったね」
 死神はこうも言う。
「あんた今は死なないよ」
「じゃあ僕これからどうなるんですか?」
「目を開ければね」 
 そうすればというのだ。
「それで生き返るよ」
「それだけですか」
「ああ、今回は済まなかったね」
 死神が実際に義光に申し訳ない顔で言う。
「また七十二年後に来るからな」
「七十二年ですか」
「それまで善行を積んで生きるんだよ」
 こう言ってそうしてだった、死神は義光の前から姿を消した。まるで煙が消える様にすうっと姿を消した。
 そして義光は目を閉じてから開けた、すると。
 そこは病室だった、驚く顔の家族と医師達が見えた。
「生き返った!?」
「嘘・・・・・・」
「今死んだと思ったら」
「もう」
 皆心拍数までチェックした、先程まで反応がなかったが今は急に動きだしている。
 それから目を開けた義光にだ、飛び上がらんばかりに喜んで言うのだった。
「よく戻って来てくれたな!」
「本当に生きてるのねあんた!」
「死神さんに会ってさ」
 義光は喜ぶ両親と姉を見回しつつ上体を起こしながら話す。
「まだ死ぬ時じゃないって言われて戻って来たんだよ」
「御前死神に会ったのか」
「じゃあ本当に危なかったのね」
「うん、フードを被ってて髑髏の顔で大鎌を持ってるね」
「よく言われる姿だったのね、死神って」
 姉は弟の話を聞いてこう思った。
「それでその死神になの」
「閻魔帳見たら僕九十一歳で死ぬことになってて」
「あんた十九だから」
「死ぬ年齢間違えてたらしいんだ、それで戻って来たんだ」
 それでだというのだ。
「いや、よかったよ」
「本当によかったわよ」
「まあとにかく戻って来たから」
 義光は何でもない顔で家族に言う。
「宜しくね、明日から学校に行けるかな」
「それは検査してからですが」
 医師も驚きの顔で延べる。
「いや、生き返ってこられて何よりです」
「そうですね、本当によかったです」
「しかし、こうしたこともあるのですね」
 医師は首を傾げさせながら言った。
「寿命が違ってですか」
「それでなんですよ」
「世の中不思議なこともあります、いえ」
「いえ?」
「人間の寿命はそうかも知れませんね。医学ではなくあらかじめそういうもので決まっているのかも知れませんね」
 医師は腕を組み俯く顔で言った、そして義光を検査して何も問題ないことを確かめてから彼を退院させた。退院した彼はそれから実際に九十一歳まで生きた、その間い
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