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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
3 「★★★★『毒怪竜ギギネブラを追え!』」
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 凍土。
 一部の地域では“モンスターの墓場”とも呼ばれる極寒地帯、凍れる大地。
 エリア分けされたうち、ベースキャンプ以外の全エリアにホットドリンクの飲用を推奨していることからも、生命にとって非常に過酷な環境であることが伺える。
 が、そんな環境にも見事に適応を果たしたモンスターたちもいた。

「情報が食い違ったみたいですね」
「うっそだろぉ〜?」

 嘆く菖蒲。その背中には「嫌だ」「行きたくない」「面倒くさい」と文字が書いてあるように見える。
 ユクモ村を出て早3週間。凍土に最も近い極寒の町、グプタに到着した凪、汀、岬とそれから菖蒲は、雪の中身を切るような寒さにぶるぶる震えながら宿に駆け込んだ。
 もともとハンターでもない菖蒲は足を引っ張るだけなのでここにくるつもりはなかった(本音は寒いところに行くのが面倒だということだろうが)のだが、のんきに見送りをしようと門前まできたところでハッと思い出したのだった。

『おいお前ら、血石と深血石の見分け、つくだろうな? まさかただの血石持って帰ってくんじゃねえぞ』
『みーそういうのカンカツガイってやつ。大きさとかじゃないの?』
『濃度の差と聞いたことがある、けど。…僕は…両方揃えば、多分わかりますけど…自信はないです……兄さんは?』
『聞くな。俺の基本生活領域は渓流だ』
『……つまりわからないんだな。ったく……ただの血石じゃ意味がねぇんだよ…仕方ねえ、俺も行く。おいクソガキ、しっかり俺を守り抜けよ。まあ、ツアーだから問題ねえだろ』

 本来ハンター以外の人間を狩場に連れては行けない(一章13話参照)のだが、菖蒲がいうことには医師免許(ライセンス)を持つ者はそれの例外となるらしい。
 危険なモンスターのテリトリー内では、人工栽培はできないが薬の材料になるという素材が数多くある。それが誰の目にも明らかにわかるようなものだったらいいのだが、例えば今回の血石と深血石のように、地元民ならわかるものでも遠方から来る渡りのハンターなどは見分けがつかないものもある。特に、それがハンター生活に無縁の、いわゆる“精算アイテム”のときは、わざわざ自分で鑑定することもなくギルドの受付嬢に任せきりというのが大半であるため、今回別段凪達が無知であるというわけではない。
 弟子2人は、基本なんでも出来ると思い込むほど多才な師匠にも分からないものがあるのだと知り目を白黒させてはいたが、当然彼女たちも見分けはつかない。受付嬢就任試験に“鑑定眼”が含まれているシャンテならばわかるが、今回の件に全く関係のない彼女を危険な狩場に連れて行くわけにもいかないだろう。

「僕たちは採取ツアーのつもりで来ましたけど、どうやらそのすぐ後に現れたらしいですね。受付嬢さんによると、発注したのが2週間前だったらしいです。これ
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