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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第6話:被験体
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ゲオルグ達B分隊のメンバーは、研究員たちが取り残されているという
区画の入り口までたどり着いた。
入り口はやはり巨大なゲートで固く閉ざされていた。
ゲオルグは内心で無理かなとは思いつつもゲートの脇にあるパネルに手をかけた。

「あれ?」

思わず間抜けな声を上げたゲオルグは呆けた表情でパネルを見た。

「稼働してる・・・。ここは電源が生きてるんだ」

「ゲオルグ。 早くゲートを開けないと」

フェイトの言葉に押されるようにゲオルグがパネルを操作すると、
重々しい動作音とともにゲートがゆっくりと左右に分かれるように開いて行く。
じっとそのさまを見ていたゲオルグは、すぐに違和感を覚えた。
ゲートの奥から漂ってくる匂いがこれまでとは違うのである。
最初は空気の循環が止まっていたせいかと思ったゲオルグだが、すぐにその考えが
間違っていることに気がついた。

(生臭い・・・なんだこれ?)

ゲートが開いて行くに従ってその匂いは強くなっていく。
あまりの匂いにゲオルグだけでなくフェイトや他の分隊員たちも
眉根にしわを寄せ、あるものは自分の鼻を押さえ、またあるものはその匂いに
むせていた。

ゲオルグは匂いの正体を探ろうとゲートの奥に目を凝らす。
だが、明かり一つ灯っていない真っ暗な空間に何かを見出すことはできなかった。

「ねえ、ゲオルグ。 そのパネルで照明の制御はできないの?」

フェイトの声にゲオルグはハッとし、慌ててパネルを操作する。
一瞬の間をおいて、ゲートの奥の方から順番に照明が灯っていく。
そして、時を同じくしてゲートが完全に開きその動作を止める。

再び訪れた静寂の中で何かの液体が滴り落ちる音が奥から小さく、だがはっきりと
聞こえてくる。

(配管でも壊れてるのかな?)

ゲオルグの脳は状況から見て最も可能性の高いの解を提示する。
だがゲートの奥にある照明が完全に灯り、その解が間違っていることを
ゲオルグは思い知った。

そこにあったのは暗い赤色のペンキの缶を投げつけたかのようにところどころが
赤く塗装された壁と天井と床であった。
天井からは赤い液体が滴り落ち、床ではねてピチャリと音を立てる。

「これって・・・ひょっとして・・・血・・・?」

「うん、たぶん」

おずおずと尋ねてくるフェイトに小さく返答すると、ゲオルグはゆっくりとした
足取りでゲートを抜けて真っ赤に染まった空間へと足を踏み入れる。
ぬるぬるとした床の感触に顔をしかめながら進むゲオルグは、通路の片隅に
こんもりとした山のようになった布を見つける。

(あれは?)

その布は血で真っ赤に染まっていたが、端の方がわずかに染まっておらず
もとの色であろう白い色が妙に浮いて
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