暁 〜小説投稿サイト〜
とある星の力を使いし者
第75話
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デカイ物を「速記原典(ショートハンド)」にしないで欲しいモンだぜい。
 触れる機会が増えちまう。」

上条は選手達の頭越しに校庭を見る。
あるのは、横一列に並ぶ一〇本の玉入れ用のポール付き籠と、辺り一面にばら撒かれた、赤と白の玉だけだ。

「あの籠ならともかく・・・例えばさ、あの玉が魔道書だったりしたら厄介だよな。
 選手の数は双方合わせて二五〇〇人ぐらいか?
 だったら、玉は紅白合わせて最低でも二倍は用意してそうだし。
 何より、玉は触れる機会が多い。」

「その点に関してはゼロだから安心しろ。」

さっきまで黙っていた麻生が言った。

「どうしてそんな事を言えるんだ?」

「さっきまで俺が調べていたからだ。
 玉を一つ一つ、注意深く観察したが魔術的記号や道具などは一切なかった。
 おかげで目が疲れた。」

麻生の発言に二人はギョッ、と目を見開いて驚く。
それもそうだ、さっき上条が言った通りなら玉の数は少なくとも五〇〇〇玉以上は転がっているという事になる。
それを一つ一つ観察していくなど時間がかかるし、何よりこの距離から玉を調べるなど普通は出来ない。
土御門の方もニャハハ、と苦笑いを浮かべている。

「キョウやんの調べが正しいとなると、怪しいのは籠かポールだにゃー。」

「でも、どうやって仕掛けたんだ?
 準備中だって、もう観客は集まり始めてた頃だろ。
 呑気に近づいて行ったら絶対に気づかれないか。」

「おそらくオリアナは校庭には近づいていないぜい。
 カミやん、さっきの裏門のセキュリティ見たろ?
 逃げている最中に、わざわざ無駄にアレを破っても能力の無駄ですたい。
 あの籠、よそからの借り物じゃねーかにゃー。
 敷地の外を搬入している間にオリアナが「速記原典(ショートハンド)」の小細工を施して、そのまま校庭まで運ばれて行ったと思うんだが。」

「でも、触ったら被害が出るんだろ。
 だったら搬入係が倒れないか?」

「発動と停止のタイミングはオリアナの方で計れるんだろ。
 協議の経過はカメラが中継してる。
 そこらの電光掲示板でも見れば、準備の様子だって掴めるはずだしにゃー。」

「停止?」

「オリアナだって、取引を安全に進める為には極力騒ぎを起こしたくない筈だぜい。
 おそらく競技が終わって、運営委員が片付ける段階になったら停止させる気だろ。
 もちろん、それまでには遠くに逃げ切ってなきゃおかしいけどにゃー。」

しかし、それは競技中に誰かが「速記原典(ショートハンド)」に触れたらアウトという事を示している。
麻生は左手で目元を押えていた。
どうやら、五〇〇〇以上の玉を見て目が疲れたようだ。

「とりあえずだ、キョウやん。
 目が回復したら
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