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立派な魔法使い 偉大な悪魔
七章 『氷の学び舎』
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それで、今からどうするんだ?」

 そのような状況を踏まえて、千雨がエヴァンジェリンに問う。指示を受けるように言われていたアルがいない状況もあり、当座はどう行動するかといったところだ。

「そうだな。とりあえず、そこの奴らに聞いてみるか?」

 エヴァンジェリンは振り返り、ログハウスの屋根を見上げた。一同もそれに倣う。
 雪が降りしきり、魔法世界の姿が浮かぶ空の下。白雪が積もったログハウスの屋根に、悪魔が降り立った。着地の衝撃で雪が舞い上がり、雪煙が立ち込める。
 それは、かつて魔帝が造りだしたものの中でも精鋭とされている悪魔『フロスト』だ。世界樹を奪取しようと襲い掛かってきた小悪魔(グレムリン)とは格の違う悪魔である。その身は氷そのもので、冷気がとめどなく溢れ出している。特に氷柱のように発達した爪からは、空気が凍てつくような冷気が感じられた。
 一体のフロストは血を払うように爪を振り、一体のフロストは爪を舌で舐めるかのように動かしている。

「もう来たのかよ!」
「ザジ・レイニーデイも言っていただろ。麻帆良学園(ここ)は既に奴らの制圧下だ、なにも不思議ではない」

 千雨の悪態をよそに、エヴァンジェリンはさもありなんといった様子だ。

(私が片付けてもいいが……)

 小太郎を一瞥するとともに、寸秒、エヴァンジェリンは思索を巡らせた。

「おい犬っころ」

 呼ばれた小太郎は、目線をエヴァンジェリンに向けて反応した。

「奴らの相手は貴様一人だ」

 どういうわけか、エヴァンジェリンはフロスト二体の相手を小太郎一人に任せようとしていた。

「俺一人よりも、あんたとやったほうがええんとちゃうか?」

 小太郎の言う事はもっともで、相手が二体いる状況では、各個撃破できるのならばそれが望ましいはずだ。

「なんだ、一人ではアレ程度すら相手出来んのか?」

 ところがエヴァンジェリンは、小太郎を煽る様に言葉を続けた。

「なんやと?」
「まぁ無理にとは言わん。ただ魔界に行ったぼーやとの差がまた広がるだろうが……ふっ、犬っころにはお似合いか?」

 ここまで言われては、小太郎も黙ってはいられない。特に、ライバルだと思っているネギを引き合いに出されれば尚更だ。

「……上等! 俺も向こうで修行したんや。軽く捻ったるわ」

 様子を伺っていた二体のフロストは、屋根から飛び掛かる。その勢いを生かした氷の爪が、小太郎を襲う。

「ハッ! 遅いわ!」

 迫る氷の爪を小太郎は後退して躱す。しかし、絶対零度に迫るその爪を躱したとしても、溢れ出す冷気が小太郎の肌を凍て付かせる。
 
(今の速さは問題ない。せやけどアレはギリギリで避けたらアカンな……)

 煽る様に軽口を叩きつ
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