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アイーダ
第三幕その五
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事実だ」
 アモナスロはさらに言う。王者の威厳がそれを真実だと述べていた。
「私とてエチオピアの王だ、ここはその誇りにかけて言う」
「何故このようなことを」
「それはわかると思うが?」
 ラダメスを見据えて言う。
「エチオピアの為だ。貴殿がエジプトの為に戦うのと同じだ」
「ではアイーダ、君は」
「私は・・・・・・」
 堪えられなかった。ついラダメスから顔を背けた。
「私は陥れられたのか、今」
「違いますっ」
 アイーダはそれを必死に否定する。慌ててラダメスに顔を戻した。
「それは違います」
「祖国エジプトを裏切ってしまった」
「いや、違う」
 アモナスロも言ってきた。
「貴殿は愛を選んだ、それだけだ」
「愛を選びエジプトを裏切った」
 生真面目なラダメスにはそうとしか思えなかった。そのことを悔やみ今絶望の中へと落ちようとしていた。それを止めることができなくなっていた。最早誰にも。
「さあ行こう」
 アモナスロはラダメスを誘った。
「エチオピアへ」
「どうか私と共に」
「行くことはできない」
 しかしラダメスはそれを断った。
「私は祖国を裏切ったのだから。だから」
 腰にある笛を出してきた。兵を呼ぶ笛だ。
「私は私を罰する。それだけだ」
「まさか貴殿は」
「そうです」
 アモナスロに顔を向けて述べる。

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