暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
戦場を貫く刃
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ぁーっと息を吹きかける。

脳裏に、矢車草の名前を持つあの女性の顔が浮かび上がる。

浮かんでくるその顔のどれもが笑っているのを見、思わずレンの顔からも笑みがこぼれる。

死ぬ時までも、笑っていたあの女性。

その顔を透かし見るようにレンは顔を上げた。

目指す先では、シルフとケットシー達がようやく接近する大集団に気付いたようだ。次々に椅子を蹴り、銀光を煌かせながら抜刀するが、その姿は重武装の攻撃隊に比べてあまりにも脆そうに見えた。

現在いるレンの位置からもケットシーの領主であるアリシャ・ルーの、とうもろこし色に輝くウェーブヘアとワンピースの水着に似た戦闘スーツは、なんとか識別できた。

その周囲を取り囲むのは、あまり見たことがない数人のケットシー。

それを見て、レンは小さく舌打ちした。

護衛がドラグーン隊でもフェンリル隊でもなく普通の幹部プレイヤー、それもあまり実戦経験がない執政部担当など論外極まりない。

「何をやってんだよ、ルーねーちゃん」

ついそんな言葉が漏れ出る。

しかし、全種族のバランスが左右されるほどの会談にいかつい飛竜やらを連れて行くのは、無理と言うものかもしれない。

そうやっているうちにも、草原を這うように飛んでいたサラマンダーの戦闘部隊が、一気に高度を取り、ウサギを狙う猛禽のように長大なランスを構えてぴたりと静止した。

後続の者たちも次々と左右に展開し、台地を半包囲する。

幸いと言うか何と言うか、超低空で無駄にキラキラ光る翼を展開させずに疾駆するレンには気が付いていないようだ。

───間に合え……………ッ!

サラマンダーの一人が、さっと手を上げた。恐らく、あいつが号令係か何かなんだろう。

がかかっ!とレンはブーツの底を草原の地面に半分めり込ませるような音を立てながら、半強制的に制止を掛ける。

そして、多少スピードが弱まったところで残った運動エネルギーを全部使って、今度は真上に思いっきり跳んだ。

今度はクーの背から跳んだ時のように《地走り》を使っていないため、腹の底まで響くような音が炸裂するが、構ってはいられない。

同時にその音にやっと気付いたかのように、サラマンダー部隊の端っこにいた数人の重戦士がこっちを見るが、それを見て見ぬフリをしながらレンは再び風を切って急上昇する。

飛び上がったときの余波か、レンが飛び上がった場所の周囲の草が放射状に薙ぎ倒される。

余裕そうに隣の仲間の肩をつついていたプレイヤーの顔が、見る間にクローズアップされていく。

同時に、厳重そうに閉じられた面頬の向こう側にある目がこぼれんばかりに見開かれるのがよく見えるようになる。

それをゆっくりと観賞しながら、レンは本能のまま、これまで
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