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あー、君。今日から魔法少女ね。
肉体派魔法少女
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に問うと、彼女は困惑して問い返してきた。
そりゃそうだろう、初対面の人間にそんなことを言われれば、まずそうなる。
そして、それこそが狙いなのだ。名付けて、うやむや作戦ッ!!
「実は、目を覚ましたら記憶が無くなっていてね。今はそれを探しているんだ。」
「え、えー?あの、記憶喪失、ってことかしら?」
「うん、そのとおり。見覚えのある場所なんか無いかと思ってふらふら歩いてたら、
何時の間にか魔女に襲われててね。」
 マミは混乱しているようだ。いいぞ、このまま押しきる!
「幸い、キュウべぇとやらから魔法少女のことは聞いてたんで、
何とか変身して戦ってね。今さっきそれが終わったとこなのさ。」
 で、もう一度聞くけど。と続けて再度問う。
「君は私のこと、何処かで見なかったかい?」
胸に手を当て問いかけると、彼女は戸惑いつつも、知らない、と返した。
「ごめんなさい、貴女とはこれが初対面よ、見かけたことも無いわ。」
「そうか……。ま、そう簡単に分かるわけないか。」
表面上は残念そうに口を尖らせているが、内心ではほくそ笑んでいる自分がいる。
よもやこうも簡単にひっかかるとは。どうやら相当にダメージを負っているらしい。
後は彼女が冷静になる前に去るのみ。私は数歩歩いてから振り返る。
「私は多分、汐海真幸だと思う!!私のことで何かわかったら、教えてくれると嬉しい!」
 めちゃくちゃな自己紹介を置いて逃げる私。
後ろから呼び止める声を無視して走り去り、人気の無いところまで来てようやく一息つけた。
今日は乱しっぱなしな息を整え、疲労感を感じながらも、何となく上を向いて歩く。

 まったく、災難な一日であった。苦労に対価が見合っていない。
分かったことと言えば魔法のことのみ、報酬はグリーフシード一個。
果たしてこれからどうなることやら。すっかり暗くなった空に手を翳してみる。
僅かな星明かりに照らされ、指輪が微かに煌めいた。
まぁ、どうにでもなるか。

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