暁 〜小説投稿サイト〜
少女1人>リリカルマジカル
第三十三話 少年期O
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
からない、成功するのかもわからない。しかし彼の持つ幸運とその執念が見事に花を咲かせてみせたのだ。同じちきゅうやの常連客から密かに攻略を始めていき、その次にその賛同者たちとともに仕事場にも浸食した。彼の武勇伝を聞きながら、アルヴィンは素で冷や汗を流した。

「ちきゅうやで、地球の日本出身のご先祖様を持つ人物と接触できたのも大きかった。彼には十代の息子さんもいるみたいで、家族みんなで積極的に参加してくれたんだ。野球のルールもご先祖様関係で知っていたみたいだし」
「そ、それでチーム作っちゃったんですか…」

 何がやばいか具体的にはわからないが、とにかくとんでもない方向に変化球が打ち込まれているのは理解したアルヴィン。なんか俺、ノリで押してはいけないスイッチ起動させちゃったんじゃね、と少し反省していた。

「わぁ、チームってなんだかすごそう」
「はは、ここまで来るのになかなか大変だったんだよ。でも、そんな時間が楽しくもあったかな。チーム名を考える時も、みんなで相談し合ったのはいい思い出さ」
「そうなんだ」
「うん。そうだ、もしよかったら君たちも野球を一緒にしないかい? 仕事場から引っ張ってきた人が多いから子どもは少ないが、きっと楽しめるよ」

 そう言って、ズボンのポケットからチームのロゴと練習場所が書かれた名刺のようなものがわたされる。2人はそれを受け取り、実に対照的な表情を取った。キラキラと目を輝かせる妹と、おい嘘だろと現実逃避したくなった兄であった。


『管理キャットファイターズ』

 練習場所は管理局本局の練習施設。そこには野球帽子をかぶったかわいらしい猫がマスコットとして描かれていた。アリシアの中で、野球とお兄さんの好感度が猫でクライマックスになった。


「あの、お兄さん。『管理』ってついていますけど、まさかお兄さんが呼び込んだ仲間の人って管理局の人じゃ……」
「ん、そうだよ。管理局のみんなで始めたんだ」

 あぁ、やっぱり。小さくつぶやかれたアルヴィンの言葉は、誰にも聞こえずに消えていった。それから少しの間、腕を組んで沈黙する。考えて考えて、アルヴィンは導き出した結論に1つうなずいた。

「……うん。頑張ってくださいね、お兄さん! 買い物する時は、ちきゅうやに団体さんで来てくれると、もしかしたら割引がつくかもしれないですよ!」
「お、商売上手だね。楽しみにしているよ」
「はい、楽しみにしていてください!」

 もう色々手遅れっぽいし、それなら売上貢献だけでも頑張ろう。野球のように投げる結論を出したアルヴィンの顔は、とても清々しかった。やけになったともいう。

 アリシアはそんな兄を見ながら、お兄ちゃんは商売上手としっかりメモをしておく。この後、なんか没頭しないとやっていられるかッ! とい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ