暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
GGO編
episode2 赤い目と、空色の夢
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 砕ける愛銃の赤い破片を、俺は開ききった瞳孔で見た。同時に、俺の中の何やら分からない力……呼白さんの言葉を借りるなら、『魂』とやらに刻まれた力は、霞む様に消えていった。ゆっくりと速度を取り戻す破片の落下を、ただただ見つめる。

 いや、見つめた、という表現は、適切ではないか。呆ける俺の、焦点の合わない視線の先にあったのが、その赤く輝く無数の結晶だったというだけだ。銃口を射抜かれたのだと分かったのは、もうすぐそこにいる男の、髑髏マスクの下から勝ち誇った笑いが聞こえた後だった。

 「……クク。……馬鹿な、男だ。こうも、容易く、罠に、かかるとはな」

 しゅうしゅうという耳障りな笑い声。
 あの世界での、最も憎んだ声の一つが、俺の意識をなんとか繋ぎとめた。

 (っ、くそっ、……!)

 そこまで言われて、ようやく思い出す。
 光学銃を防ぐ、失念していた、あの装備。

 「ちぃっ!!!」

 霞む脳裏を奮い立たせ、腕を振るう。

 投げつける、ポーチから取り出しておいた、最後の手榴弾である左手の閃光弾。だが、閃光弾は単なる目晦まし、時間稼ぎに過ぎないし、何より俺の予想通りなら例えこれがプラズマグレネードであっても死銃にダメージを与えられないはず。しかしそれでも、今は時間がほしい。

 素早く反応した死銃がマントを翻す。

 その下に、俺は見た。
 三点式のシートベルトの様に体に装着された、見覚えのある装置。

 (やられた……!)

 瞬間、全力で走り出して距離を取る。
 幸い五体は満足、移動に難は無い。

 (……『魔鎖夜』の、《耐光学兵器反射フィールド展開アーマー》! 殺して奪ったのか!)

 思い出すのはかつて狩りで何度か交戦経験のある、アサルトライフル使い。

 確かあの男も、このBoB大会本戦に参加していた一人だ。この反射防具がサーバーに一つの激レア装備であることを考えるに、恐らくこの死銃に撃たれた後に、装備を剥ぎ取られたのだろう。アレがあれば俺の《カノープス》はおろか、あらゆる光学兵器のダメージをほぼ零にできる。プラズマグレネードも、そして、

 (っっ!!! マズい!!!)

 そこまで考えて、一気に体中の血の気が引くのを感じる。

 光剣……フォトンソードも、この反射防具の影響を受ける。勿論そんな骨董品な武器を使う阿呆などそうそういはしないが、今回のBoBにはその阿呆の筆頭が参加しているのだ。あの男は恐らくコンバートしたて、こんなレア装備など知っているはずがない。

 そして。

 (こいつが、キリトを見逃すはずがねえ……っ!)

 当然、キリトを狙うだろう。この男の過去を考えるに、「もう一人殺す」がキリトである可能性は高い。だが、キリトはあのキリト、
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ