GGO編
episode2 死の銃と布良星
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サも手早く拳銃二丁のエネルギーパックを交換しながら歩いていく。こちらはその作業に集中している分足元は疎かだが、それを補うようにしっかりと俺が周囲を見回す。
「んー、ラッシー、まだ弾薬は大丈夫?」
「おお、今日は無駄遣いしてないからな。合流前も閃光弾一発に発煙弾二発だな」
「それにしても、腰のソレ、使いにくくない? 昨日貰ったばっかでしょ?」
「……ま、やっぱ少しはな。それでも使えないほどじゃねえよ」
ツカサが指さすのは、俺の腰の特殊材質ポーチ…所謂、『防弾ポーチ』。普通は榴弾系の武器は腰にカラビナでもつけてノータイムで取り出せるようにするのだが、俺の場合は狙撃に備えて撃たれても大丈夫なようこのレアポーチに入れてあるのだ。その弊害として咄嗟にグレネードを放ることは出来ないが、今のところそれで困ったことは無い。今のところ咄嗟の判断が必要な自体に陥っていないと言うだけかもしれないが。
「もともと俺は使い勝手の悪いモンを無理矢理使いこなすタイプなんでな。不便はねえよ」
「そう? ふふ、相変わらず凄いね?」
装填を終えたツカサが二丁拳銃の握り心地を確かめ、笑う。今日も変わらぬ優男ヅラを黒眼鏡で隠し、垂らした前髪がさらりと揺れる。ツカサの表情は、いつもの自然体のままだ。余計な気負いは見られない。俺はそれを確認して頷いて、出来る限りの速度で進む。
まだこんなところで負ける気は、無かった。
二人で、まだまだ行ける。そう思っていた。
超えた廃墟の向こうに、あのぼろマントに身を包んだ男を見るまでは。
◆
シドが裸眼で、ツカサは双眼鏡で見つめる先は、壮絶だった。このGGOでは本来、プレイヤーの死体は即座にポリゴン片となって爆散するものだ。だから、GGO初期からのベテランで、かなりプレイヤー歴の長いツカサであっても、その景色を見るのは初めてだった。
プレイヤー達の死体が、累々と横たわる地獄さながらの景色は。
「っ……」
「っぁ……」
二人が同時に、息をのむ。まだトラックの爆発の炎が残る一帯に倒れるプレイヤー達は、合わせて三人。皆爆音を聞き付けて集まった腕に自信のある強者達だったろうに、全員がHPを失って地べたを舐めている。
そして、その中に、揺らぐ炎を纏って佇む、一人のプレイヤー。背には巨大なライフルを背負い、周囲に揺らぐ炎のように赤い目を光らせたまま、周囲をぐるりと見回す。その手に携えているのは、不吉に輝く一丁の黒い拳銃。
―――さあ、見届けろ。これが、俺の、力だ。
その呟きは、鋭敏なシドの耳だけに聞こえた声ではなかった。十分な音量を持って告げられた言葉は、きっと彼の周囲を旋回する中継カメラもその声を拾ったろう。向けた拳銃の先は、既にHPを
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