暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
GGO編
episode1 風を受けて3
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 「アァ!? ナマ言ってんじゃねえぞ!」

 魔鎖夜の乗せられやすい性格を、十分に生かした挑発行為だった。





 「う、うわあああ!!!」「く、くそっ!!!」

 その時既に、最初に戦端の開かれた左の戦闘は収束しつつあった。

 「っ、く、また上だ!」

 左の二人も、数合わせのメンバーと言うわけではない。魔鎖夜やリッチーには劣るものの、なかなかの装備を整えた実力者達だ。しかし実力者ではあっても、突発事態に対処できるだけの経験と頭の回転まで持ち合わせているとは限らない。

 「はっはー! ホラホラ、もうすぐでフィールドは効かないよ!?」

 ツカサはその整った容貌に三日月のような笑みを浮かべ、黒眼鏡の奥の瞳を爛々と光らせる。

 不規則に跳びはね、走り、掩蔽物を巧みに操るツカサの接近は、彼らになじみ深いAGI極型の突進とは異なって、三次元的な狙いを付けることを強いられる。そんな経験のあまりない彼らは動揺し、着弾予測円の心拍連動によってまともに狙いを絞ることができない。

 「く、くそっ!」「撃て、とにかく撃ちまくれっ!!!」

 軽快な音を立てて撃ちまくられるサブマシンガンとアサルトライフル。

 連中のような精神状態では当然全弾当たるはずもないが、それでも距離が距離だ、全弾外れるはずもない。大半は外れるもののそれでも数発がツカサの体に当たり、そのアーマーを貫いて着実にHPを削っていく。

 しかし。

 「さあ、もう光学防御フィールド効果範囲外だ! いざ、撃ち合おうか!?」

 ツカサはそんなことを全く気にかけず跳躍、左右の光学銃が一気に光を放って二人を続けざまに貫く。普段は減衰されるためにまともに喰らったことのない光線銃の攻撃に、二人がますます動揺する。一端隠れるべきか。いや、押し切るべきか。相反する二つの選択肢で迷い。

 そして、動きは鈍る。

 「はっはー!」

 迷いのうちに、更に繰り出される連射。光線銃の連射は突撃銃程の速さでは無いが、エネルギーパック一つあたりの弾数は圧倒的に有利だ。このまま粘っても先に弾切れになるのは実弾銃の二人。迷いがますます深まる。

 「ち、ちくしょおお!」「ま、魔鎖夜、こっち、うわああ!」

 この時、二人がそのまま手の銃を撃ち続けていれば、おそらく秒間ダメージ量的には死んでいたのはツカサの方だったろう。しかし二人は、それに気付くほどに冷静になれていなかった。というか、冷静に「させて貰えなかった」というべきか。

 「終わりっ!」

 動揺でまともに射撃もできない二人に降り注いだ光線銃の連撃が、瞬く間にHPを削り尽くしてその体をポリゴン片へと吹き飛ばした。





 「ぬおお!!!」

 
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