暁 〜小説投稿サイト〜
ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第四話 ロマーニャ基地@
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だが、あんなユニットを開発できる国があるとは思えん」

 さながら未来のユニットのようだ、とは立ち会った整備士の弁である。

「未来だと? まさか、そんな話があるものか」

 バルクホルンが一蹴する。まあ、それがごく当然の反応だろう。
 よもや本当に未来からの迷子であるなどだれが予想できようか。

「ははっ! 未来のユニットか。もしそうだったら面白いよな。実はさ、リベリオンでもそういう映画があるんだよ。ちょっと変わった科学者が車を改造してタイムマシンを作るんだけどさ、実験の途中に知り合いの男の子を巻き込んで――」
「はいはい、そこまでよシャーリーさん」

 さすがに冗談ばかり言ってもいられない。彼女がウィッチである以上、所属があることは明らかだ。早く身元を特定せねばならないのである。……もっとも、無駄な努力ではあるのだが。

「ああ、そうそう。一応ドックタグみたいなものはあったぞ?」

 思い出したように言うシャーリーが、小さな金属片を坂本に手渡す。

「首にかかってたんだ。だけど、扶桑語は難しくて読めないんだよ。少佐ならわかるだろ?」

 坂本はそれを受け取ると、ミーナに軽く目配せをしてから部屋を出た。





 自室へと足早に戻ってきた坂本は、急いで机の明かりをつけると受け取ったドッグタグを見る。本人とも話が出来ず、ユニットの解析もお手上げとなっては、唯一これだけが手がかりなのだ。ともかく所属と名前くらいは分かるだろうと思い、坂本はシャーリーから受け取ったドックタグを調べてみる。

「む……暗くてよく見えんな……」

 明かりに近づけて目を凝らす。と、そこには――


 氏名:沖田 和音
 年齢:14歳
 所属:扶桑皇国空軍第7航空団第305飛行隊
 階級:少尉
 生年月日:1981年3月14日


「なん……だと……!?」

 決してありえないはずの生年月日を見てしまった瞬間、坂本の脳裏にある可能性が浮かんだ。到底信じられないようなそれは、しかし何もかも辻褄が合うし、実際問題として正解である。背中を嫌な背が伝い、坂本はそっと明かりを絞って布団に倒れ込んだ。

(いかんな……今日はどうにも疲れているらしい……)

 まだ本当かどうかは分からない。しかし、普段冷静な坂本が動揺するのには十分な衝撃をそのドッグタグは与えたのだった。

「沖田和音……お前は、まさか……」

 ――本当に未来からやって来たのか?

 声になる事の無かった問いを飲み込んで、坂本はゆっくりと眠りに落ちていった。








 ……――いいかい和音? 空は決して優しくない。それを覚えておくんだよ

 いつの頃だっただろうか、覚えている限りではまだ自分が10
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ