暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
戦友の血を吸いながら………
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
気に解き放たれた。

振るわれた拳から飛び出るのは、先刻レンが浴びたものよりも数倍も太い光のレーザー。

太すぎて、もはやレーザーと言うより、柱である。

それをレンは、何もせずに受け止めた。心意技も使わずに、生身で。

光の源の方で、テオドラが明らかに戸惑ったような表情を顔に浮かべるのが見える。相も変わらず、隠し事ができない性質(たち)らしい。

ずずず、と瘴気のようなレンの過剰光が、まるで意思を持っているかのように前方に集まってテオドラの心意技と真正面から衝突した。テオドラの位置からは、自らの過剰光の眩しさに阻まれて見えないが、見るものが見たらきっとこう思うだろう。

まるで巨大な円盾(ラウンドシールド)のようだ、と。

瞬間、天地が引き裂かれたような轟音が耳をつんざいた。足元の橋が、端っこから徐々に崩れ消え去っていくのが視界の端に映る。

そして、今度こそテオドラの表情が困惑から驚愕に変わった。

飲み込んでいるのだ。

レンの過剰光でできた盾はテオドラの心意技とぶつかり、一瞬鋭い光を放った。テオドラの心意技は、最初こそレンの盾を侵食するように突き進もうとしたが、すぐに威力がなくなり、じわじわと端っこから光度が落ちていった。

徐々に、ゆっくりと、しかし着実に、確実に。

飲み込み、呑み込んで、のみこんでいる。

侵食しているかのように、テオドラの心意技は端からオレンジの光を失い、明滅し、消滅していく。

まるで、巨大な生物が食事をしているかのように。

食って。

喰って。

クッテイル。

「そ……んな。嘘だ…………」

床にへたり込むテオドラ。四肢を覆っていた過剰光は跡形もなく消え去り、後には半壊状態の橋だけが残された。

そこに、靴音を音高く鳴らしながらレンは近付く。

こつっ、こつっ、と

近付く。

その顔には何の表情もない。ただ

無感情に

無表情に

近付く。

そして言う。

狂気に染まった声で、真っ黒に言う。

「うん、良い心意技だったね。《射程距離拡張》の心意か。射程距離もそこそこ良かったし、威力も申し分ない。だけど、それだけだよ」

極めてつまらなそうに、目を細めながらレンは言葉を続ける。

言葉を、紡ぎ続ける。

「いかに心意技と言っても、その実態は技名発声によって集中深度を増した心意の塊に過ぎない。だとしたら、《心意は心意でしか阻むことができない》。このルールが働くからね。つまり、心意技はそれ以上の心意を使ったら、絶対に防げるんだよ」

そこで、静かにレンは目を伏せた。長めの前髪に隠れてその表情は全く見えないが、それでもテオドラは背中を震わせた。

なぜかは分からない。

しかし、唐突
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ