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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第22話 「……ご主人様って言うな」
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  ―― 関羽 side 宛 ――




 ん……

 目が覚めた私は、布団から這い出して窓を見る。
 今日もいい天気だ。

 右手で眼に(ひさし)を作ろうとして、動かした右肩に激痛が走る。

「つっ……()っぅ……」

 先日の戦闘で矢が掠めた場所。
 それは右肩の筋肉を裂き、思いのほか重症だった。

 あれからすでに七日が経つが、まだ完全に回復とまではいかない。

 私は溜息をひとつ吐き、喉の渇きを潤すために寝巻きを着替え、部屋を出る。
 私が厨房に行こうと、城の中庭に差し掛かったときだった。

「……ん?」
「ヤッ! ハッ! たりゃあああああああっ!」

 そこには鈴々が、蛇矛を持って一人鍛錬している姿があった。

(元気になったようだな……)

 その姿に眼を細めて微笑む。

「精が出るじゃないか、鈴々!」
「ハッ! ……あ、愛紗。おはよう、なのだ!」

 鈴々は、突き出した蛇矛をブンと一振りして、こちらに向き直る。

「もう大丈夫なのか?」
「鈴々は怪我してないのだ! ここ何日かは、ご飯も一杯食べて、ぐっすり寝たのだ! だから鈴々は、元気一杯なのだ!」

 フン、と鼻息も荒く、腕に力瘤を作る。
 細い腕に、ぽこっと小さい瘤が作られた。

「プッ……」
「あー! 笑うななのだー!」
「すまんすまん……悪かった」

 私は笑いつつ、その姿を見る。 
 どうやら完全に復活したようだ。

 七日前の頃の鈴々とは、生気が違う。

「愛紗こそ、まだ怪我が治りきっていないんじゃないのかー?」
「舐めるなよ。鍛え方が違うさ」

 そう言って右腕をぐるんと……

 ……

「も、問題ない、ぞ?」
「……涙目で言われても、説得力ないのだ」

 うう……

「愛紗。完全に治ったら、鈴々の修行の手伝いをしてくれるか?」

 肩を押さえて涙目になっていると、ふいに鈴々がそう言ってくる。

「それはかまわんが……どうしたんだ? 急に改まって」
「…………」

 私の問いに答えず、鈴々が蛇矛をぶんっ、と振るう。

「……鈴々は、思い違いをしていたのだ」
「思い違い?」
「そうなのだ……この前のことで、ようやくわかったのだ。鈴々はお姉ちゃんにはなれないって」

 ?
 どういう、ことだ?

「鈴々は武将なのだ。武将は、いつ何時起こるかもしれない乱に備えて、常にその身を鍛えて、その力を蓄えておかねばならないのだ……でないと、この間みたいに、いざというときになにもできないのだ」

 !?

「鈴々は、お姉ちゃんと苦しみを共にするのが、義姉妹の契りを果たすことだと思っていたのだ。でも、その結果は……
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