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魔笛
第二幕その十六
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「貴方が夜を知り私が昼を知る」
 女王も自分の前に来た彼を見詰めながら言う。
「世界はそうあるべきなのね」
「その通りだ。それではだ」
「ええ、また一緒に」
「モノスタトスよ」
 ザラストロは彼にも声をかけた。侍女達は静かに女王の後ろに控えた。
「そなたにもやがて相応しい相手が見つかる」
「だといいですがね」
「月も一人では寂しいものだ」
 そしてこうも言うのであった。
「そして一人では何にもならないからだ」
「それでは」
「悔い改め心を落ち着かせるのだ」
 穏やかな声で彼に告げた。
「わかったな」
「はい、それでは」
「皆の者、讃えよう」
 全てが終わったと見たザラストロは一同を見回して言う。部屋の中は太陽の輝きに照らされている。
「昼と夜が一つになったことを」
「はい、そして神々に」
「深く感謝を」
 タミーノとパミーナも言う。
「勇気ある者達が勝利を収め」
「その報いとして美と叡智が永遠の冠を頂かせる」
「そしてそれをつかさどるのは愛」
 ザラストロも厳かに言った。
「愛が全てを幸福にするのだ」
 皆このことを心から感じ恍惚となっていた。今二つの愛が成就し昼と夜は元に戻った。誰もがこのことを心から喜んでいた。


魔笛   完


           2010・2・25

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