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神々の黄昏
第一幕その八

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第一幕その八

「私にジークフリートを惹きつけるものがなければ」
「そなたにか」
「ええ。その最も素晴らしい勇士をこの私が」
「安心するのだ」
 だがハーゲンはグートルーネにも重厚に語った。
「それもだ」
「安心していいと」
「そうだ、安心していい」
 また言うのであった。
「それはだ」
「それは何故なの?」
「任せておくのだ」
 今ではそのことは伏せるのだった。
「私にだ」
「それじゃあ」
「そうだ。そしてだ」
 ここでハーゲンは二人に問うのだった。
「この話はどう思うか」
「いいと思う」
「私も」
 二人はそれぞれこう言って賛成だと述べた。
「しかしだ」
「しかし。何だ?」
「ジークフリートは今何処にいるのだ?」
 グンターはそれを問うたのである。
「彼はだ。今何処にいるのだ?」
「何処にか」
「そうだ。何処にいるかが問題だが」
「それについてはだ」
 このことについても話すハーゲンだった。
「血気にはやる彼はだ」
「うむ」
「功名を求め旅に出た」
「旅にか。それでは探しにくいな」
「いや、その心配はな」
 だがハーゲンはここでこう述べた。
「その心配はだ」
「ないというのか」
「彼はここに向かっている」
「この屋敷にか」
「そうだ。今ライン河を下っているのだ」
 彼等がいるその河にだという。
「だからだ。すぐに来るのだ」
「そうか。そういえば」
「この音は」
 グートルーネも言ってきた。
「角笛の音?」
「あの音こそがだ」
 ハーゲンが言ってきた。
「そのジークフリートの笛の音だ」
「あれがか」
「あの角笛が」
「そしてだ」
 さらに言うハーゲンだった。
「その勇者が今ここに来るのだ」
「ここにか」
「そうだ、来る」
 言葉はまさに二人の心に刻み込むものだった。
「この宮殿に」
「では人をやろう」
 グンターはすぐに決断を下した。
「それでいいな」
「うむ、そうして彼をここに呼ぶのだ」
 そうしてであった。すぐに人がやられジークフリートが彼等の前に出て来た。そのうえで話がはじまるのであった。
「一つ聞きたいことがある」
「何だ?」
 三人は席を立ちジークフリートを迎えていた。その場でジークフリートが言ってきたのだ。
「この屋敷はギービヒ家のものだな」
「そうだ」
 グンターが微笑んで彼の問いに答える。
「それがどうかしたのか」
「ではこの屋敷の主は」
「私だ」
 グンターは微笑んでまた答えた。
「この私、グンターがだ」
「そうか、貴方がか」
 ジークフリートは彼の言葉を受けた。そのうえでまた言うのであった。

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