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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第20話 「貴方は、悲しみを背負う……ただの『人間(ひと)』なのだから」
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  ―― 韓忠 side ――




()れぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 俺の叫びに、恐怖で固まっていた兵どもが、狂乱して魔人に襲い掛かる。
 突き出される槍、剣、矛。

 その全てを、魔人は腕の一振りでなぎ払った。

「ひ、ひぃぃいいいいいっ!?」

 兵の一人が恐怖に声を上げる。
 刹那、その兵の顔が、魔人の手に掴まれた……
 そう思った瞬間。

 パジュッ!

 鈍い音とともに、顔の前面が握りつぶされる。
 眼球は飛び出し、脳漿(のうしょう)が飛び散り、砕けた頭蓋骨がバラバラと落ちる。

 魔人の握った肉が、ぐじゅっ、と音を立てる。

 その様子に、横にいた兵が泡を吹いて倒れた。

「ぎ、ぎゃあああああああっあ!?」

 ようやくなにが起こったのか、周囲に伝わる。
 叫んだのは邑人だった。

「ば、バケモノ!」
「いやああああ!」
「た、助けてくれ!」

 邑人が、這いずるように逃げ出す。
 本来ならば、兵が制止するのだが……その兵も魔人に恐れをなして、逃げ出そうとする。

 だが……

「……ニガ、サン」

 まるで、怨嗟の塊が声を発したかのような、恐ろしい音。
 それが、魔人の声と気付くのに、数瞬の時間が必要だった。

 その間にも、泡を吹いて倒れた兵の頭を踏み砕き。
 逃げようとする兵の足を引き千切り。
 這って逃げようとする兵の胴を踏み千切った。

 断末魔の絶叫が響き渡る。

(……やばい、やばいやばいやばいやばいやばい!)

 俺の頭の中に警鐘が鳴り響く。

 このままじゃ死ぬ。
 確実に死ぬ。
 逃げても死ぬ。
 戦っても死ぬ。
 呆然としていても死ぬ。

 どうする?
 どうする?
 どうすればいい?

 俺は目だけで周囲を探る。
 なにか……なにか、ないか。

 なにかなにかなにかなにかなにかなにか、なに……
 
 そして見つけた。

 その場で涙を流しながら、呆然として惨劇を見る女と、その傍にいる二人の子供を……




  ―― other side ――




 僕はお兄ちゃんの手で目を覆われていた。
 何が起こったのかわからない。

 ただ……黒い誰かが炎の中から現れたと思ったら、悲鳴がして……
 そちらを見ようとしたら、お兄ちゃんが僕の目を覆ったんだ。

「見るな」

 お兄ちゃんはそう言って、僕を抱きしめている。
 さっきからいろんな大人の悲鳴が聞こえる。

 だから僕は、お兄ちゃんの身体で顔を隠すように、ぎゅっと眼を瞑った。

 僕は弱いから、怖い。
 さっきはお姉ちゃんが「助けて!」と言われたときも、ただ
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