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変人だらけの武偵高
2話
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座に乗せられたサブマシンガン、UZIの砲口を向けながら。
ああ、やっぱり今日は厄日だ。
何故とかどうしてとか、ともかく思考を埋め尽くすのは単純な疑問だった。ここは天下の往来、それも武偵見習いの巣窟、学園島の往来だというのに。
漕ぐ足にじわじわと疲労が溜まって行く。このまま走り続ければやがて力尽き、マシンガンで蜂の巣にされること請け合いだ。
ーーいや、待て。
キンジは思い出す。自分は何者だったのか。
そうだ、俺は。東京武偵高強襲科元トップ、Sランク武偵遠山キンジではないか。
武偵といえば強襲科、とは誰のセリフだったか。その強襲科のトップが、武偵の流儀を忘れるとは笑い話だ。
「武偵憲章第5条ーー行動に疾くあれ、先手必勝を旨とすべし」
そう、先手必勝。
つまり、殺られる前に殺る、だ。
流石に本当に殺人は出来ないが。
キンジは懐のホルスターから、愛銃、ベレッタM92Fを抜いた。銀色の銃身が、本日最初の陽光を受け鈍く輝いた。
ベレッタを素早くセグウェイに鎮座するUZIの銃口に照準を合わせ、引き金を絞る。
武偵高では聞き慣れた銃声が響き、自転車の遥か後方で薬莢が地面に落ちる音が続く。
放たれた銃弾は螺旋を描きながら、マシンガンの砲口に吸い込まれて行く。
セグウェイの上のマシンガンが、花火のように木っ端微塵になった。その結果を見て満足気に頷きながら、キンジはさながら西部のガンマンのようにベレッタの銃口にふっと息を吐く。
「流石 で やがりますね」
マシンガンを失ったセグウェイから、ぼかしの効いた音声が流れる。
「お前がこのアトラクションの仕掛け人か? 呆気なかったぜ。もっと難易度を高くしても良かったんじゃないのか」
「強襲科 元 トップ は 伊達 では あり やがり ませんね」
「無視かよ。……なあ、お前は何者だ? 俺を知っているのか」
「これ は テスト で やがり ます」
「テスト、だと?」
嫌な予感しかしない響きに、キンジは思わず聞き返した。もしかしたら、自分はまたいつの間にかとんでもない事件に巻き込まれているのではないかーーそんな懸念が脳裏を過る。
「私 は 武偵殺し で ありやがります」
武偵、殺しーーまさか、と口を挟もうとした、その瞬間。
ピッ。と。
自転車のサドル辺りから、不審な音が聞こえるのを、キンジは聞き逃さなかった。
「……ん、サドル?」
ふと、違和感を感じたキンジはサドル裏部分を手で弄る。
何か、直方体の箱のようなものがーー
「その チャリには 爆弾が 仕掛けてありやがります」
「これじゃねーか!」
暴発を恐れ、キンジは慌てて手を離す。背中が冷や汗でぐっしょりと濡れていた。
「ててっ、てめえそういうことはもう少し早く言えよ! 俺が不用心に爆弾取り外したらどうすんだよ!」
「爆発
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