暁 〜小説投稿サイト〜
鋼殻のレギオス IFの物語
十話
[1/11]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 「レイフォン、君はどうしてこんな仕事をしようと思ったんだい?」

 放浪バスに乗って二日目、特にすることもないので自前の都市外戦闘服の点検をしていたレイフォンに、このキャラバン、自称『ライセンス古物・情報調査旅団』の主、シンラが話しかけてくる
 見た限り、実年齢である二十六には余り見えない若々しさをした持ち小さなメガネをかけ、少し長めの藍色の髪を金属の輪で一つに束ねた細身の男性だ

「その、僕が育った孤児院の運営を助けたくて」
「ほう、立派な心がけだ。だが、流石に十二では早すぎないかね?」
「そうなんですか?」
「ああ、普通は君くらいの歳なら親の庇護下で守られているよ。汚染獣との交戦経験があると言っていたが、いつぐらいからなんだい?」
「八歳の頃からです」
「……凄まじいな。それにしても三十回以上というのは流石に嘘だろう? そんな頻繁に会う訳がない」
「いえ、少なくとも二月に一度は。酷いときには毎週ぐらいの頻度で襲われてたので、実際はもっと多いと思います」
「……嘘だろう?」

 信じられないという様な表情でシンラが聞き返してくる。見れば、周囲で聞き耳を立てていた者達もこちらを向いて驚いている

「と、いうことはだ。繁殖を放棄した個体……確か老生体、だったかな? その汚染獣にも襲われたことはあるのかい?」
「僕が知っている限り、この二年間で五回襲われてます」
「……決めたよ。僕はグレンダンには決して行かない」

 周囲の者達も賛同するように無言で首肯する

「となると、ますます疑問だな。僕が今まで会った中で君は、恐らくダントツの強さを持っている。それだというのに君ほどの人物が都市の外に出ているだなんてね」
「いえ、僕よりも強い人はたくさんいましたよ」

 頭に浮かぶのはよく会っていたサヴァリスの姿。たとえ相手の武器が天剣でなかったとしても、ほぼ確実に勝てないだろうと確信している。それに他の天剣授受者にも勝てないだろう

「いざとなれば天剣授受者の方達がいるので、安全は確保されています」
「……何だい、それは? 聞いた限りヨルテムの交叉騎士団の様なもののようだが」
「十二本ある天剣と呼ばれる特殊な錬金鋼を与えられた人たちのことで、グレンダンにおいて最強の人達のことです」
「なるほどね、だから“天剣”授受者か。だが、錬金鋼を変える必要があるのかい?」

 称号だけならまだしも、錬金鋼を与えられるということがよく理解できず、特典の様なものだろうかとシンラは首を捻る

「いえ、それでなければ彼らは全力が出せないんです」
「? 意味が分からないのだが……」

 口で説明するよりは見せた方が早いだろうと思い、レイフォンは腰元にある剣帯から黒鋼錬金鋼を出して復元し、剄を込める
 シンラが見ている
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ