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小料理屋”伴鳥”(ばんちょう)、恋姫世界で営業中! ※地方への出張開店も承っております。
第零話 プロローグ、そして大体こんな感じ
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 世界が崩壊してから7日目、“結実の日曜日”。
 
 世界に残されたタイムリミットの日であり、最後のセプテントリオンが襲いかかって来る日。
 これまで人類の主戦力だった少年、久世響希が先日の戦いで昏睡していた。そのため人類は残された戦力で、最後にして最大の敵――セプテントリオンであるベナトナシュに立ち向かわなければならなかった。



 しかし

「アイリっ!」

 燃え盛る地獄と化した人口の谷底で、背の高い青年――鳥居純吾が、赤い髪と白い帽子にマフラーが特徴的な女子高生――伴亜衣梨を素早く抱きかかえ、走る。

 人類は、最後のセプテントリオンの攻略に失敗をした。龍脈の力と、生き残った全ての強い力を持った悪魔使い(デビルサマナー)の力を結集して立ち向かったが、ベナトナシュは悪魔の強制送還という反則技を用い、人類すべての力を無理やり奪い去ったのだ。

 純吾が走っている最中にも、あちらこちらでボコボコと爆弾のような特性を備えたセプテントリオンのドゥベが膨れる。それが限界まで膨れ、臨界を迎えたら爆発をするのだが、臨界まで残された時間は少なそうだった。
 このまま走っても、もしかしたら徒労に終わるだけかもしれない。ドゥベの爆発の力は強力だ。敵のビームがビルをえぐってできた、この狭い谷で爆発すればどこにいても同じなのかもしれない。

 それでも――鳥居純吾は慣れない姿勢で走る己の体に一層力を込めた。
 諦める訳にはいかなかった。この脅威を乗り越えた先に待つ、世界を救う可能性であるポラリスとの謁見のために。己の限界を超え仲間を救った、昏睡状態にある久世響希のために。
 そして、今も腕の中で不安げに自分を見つめる少女。全てを失ったと思った自分に再び生きる切っ掛けをくれ、純吾が何に代えても守ると誓った少女、伴亜衣梨のために。

 もうすぐ谷底の曲がり角に差し掛かる。ドゥベが臨界した光が純吾達の後ろで膨れ上がるのが分かるが、ここを曲がりさえすれば、生き残れる可能性が――

「…あぁっ」

 目を限界まで見開く。純吾は自分の見ている事が信じられなかった。
 何故なら、そこにあったのは臨界まで達したドゥベの大群。既に限界まで膨れ上がり、内側から今にも破裂しそうなそれらがあったのだから。

 純吾は亜衣梨に覆いかぶさるように身を伏せる。少しでも炎を、少しでも爆発の衝撃を、少しでも死の危険性を、彼女から遠ざけるために。
 腕に抱えた亜衣梨の顔が近づく。残された時間は僅かだった。純吾は、自分と同じく目を見開いている亜衣梨の耳元に口を近づけ

「アイリ――」

 しかし、彼女に何かを伝える間も神は与えてくれず。鳥居純吾と伴亜衣梨の身体は、轟音と、巻き上がる劫火の中に消えた。





「って事が、た〜し
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