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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第十五幕 「学園最強の変人達の末路」
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前回のあらすじ:仲を『結う』青年


「・・・・・・やるねぇ」
「・・・・・・そちらこそ」

IS学園中庭。多くの見物客に囲まれたその中心地に、二人はいた。
2人を除いて誰も声を発しない。否、場の重圧に負けて発することが出来ないでいた。
生徒会長の実力を知るものはジョウの人間離れした実力に舌を巻き、ジョウの実力を知るもの――この場には一夏くらいしかいないが――は彼に本気を出させた楯無に戦慄している。
既に“決闘”が始まってから30分は経っただろうか、状況は互いに全く無傷で息一つ切らしていない。それだけ長い間戦っているのになぜ、と思うかもしれないが、それは二人の戦いを見ていれば自ずとわかる。

「・・・ふっ!!」
「・・・ッ!!」

2人が同時に動く。互いに一瞬のうちに間合いギリギリに踏み込む。
手を出し、互いに互いの手を避け、絡め、捌き、打ち払おうとし、フェイントを入れ、足を伸ばしてはすんでの所で相手の動きを回避する。素人目には見えないが0,1秒にも満たない短い間に実に複雑怪奇な読み合いと崩しを織り交ぜたイニシアチブの奪い合いが行われ、これ以上のリスクを避けて再び距離を取る。
それは一瞬のミスが命取りになる、紛う事なき真剣勝負。
全神経を正面の相手だけに集中させた二人にはもはや周りの事など見えてはいない。


(なんて男なの・・・!この私相手にここまで“掴ませない”なんて・・・!!)

内心で楯無は歯ぎしりをする。更識流は“攻撃的な柔の術”、相手の力を利用するだけではなく自ら近づいて一撃にて無力化することこそが真骨頂なのだ。故に何時如何なる時や場所でもどのタイミングでも相手を投げ飛ばせる状況を作り出すことに関しては、他のどの流派より飛び抜けている。先手であろうと後手であろうと相手を捉えてねじ伏せる更識流を以てして、それでもこの男一人を捉えられない。30分という余りにも長い時間を掛けてなおその糸口すら掴めない。
癖を掴んだと思ったら罠。隙を見せたと思ったらそれも罠。戦いの中で更識流の本質を見抜いたのか、徹底してこちらを誘い出す戦術を取っている。それでいて攻めの手も守りの手もそつがなく、結果として予断を全く許さない状況が続いている。

成程どうして、天才を自称するだけの確かの実力がこの男にはあった。
しかも、楯無の見立てではそれだけではなかった。

(更識流の動きを学習するため態と攻めに消極的になっている・・・?本気で来ればこの拮抗が持つかどうか・・・)

楯無は半ば確信めいたある思いが膨れ上がっていた。この戦い、本気で勝つには“殺す気”でいかなければいかない。しかし男子生徒達はあくまで守るべき護衛対象、下手に傷をつければ後後面倒なことになりかねない。いっそ降参するのも手か・・・?だが生徒会長たるもの、
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