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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
コラボ
〜Cross storys〜
episode of cross:進退
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る前にゲツガの周囲の空間が、音もなく歪んだ。

そこをそっくりそのままゲツガの左手がなぞるように、円を描くように回される。すると、そこからヴン、ヴンと虫がさえずるような音が断続的に響き渡り、刀身の長さも、デザインもまるで統一性がない数十本の刀剣が出現した。

「あれが………ゲツガの言ってた…《錬金術》」

地上で空を見上げたセモンが思わず呟いた。

数十メートル上空では、現れたそれらの剣の一本をゲツガが握り締めるところだった。

右手に持ったままの愛剣を大上段から振り下ろし、ソレの体が揺れる。

さらに現れた剣の一本を居合いのごとく抜ききって、更なる追撃を放つ。

「…………ッ!!クッソがァァア!!!」

叫び、十メートルはあろうかと言う漆黒の巨翼が、さながらギロチンの刃のように迫ってくる。暗闇色の羽根の一枚一枚が下手な鈍らの刃よりも鋭そうだった。

地上だったら、ゲツガはその攻撃を簡単に避けることができただろう。しかし、足場のない空中ではゲツガは自由に身動きはできない。

彼の二つ名《白い弾丸(ホワイトバレット)》の由来、爆発的な推進力もしっかりとした足場があってこそ機能するのだ。ソレの口元に、堪えきれない嗜虐の笑みが浮かぶ。

だが───

「な…………」

ゲツガはそこから、跳んだ。

足場はある。出現した刀剣達が空中で折り重なって、即席の地面が作り上げられていた。多少危険で不安定だが、足場には充分だった。

翼に神経を集中し、胴体への防御がおろそかになっていた《ヒト》は静止をかけることもできずに、もろに吹き飛ばされた。

そこに農家の家々の隙間から、一つの影が跳躍した。

学ランのような服装。シキだ。

手に持った白銀の閃光を放つダガーが、空中に複雑な軌跡を描き出した。

その軌跡が空中でソレと交錯する。すると、制動をかけようとして左右に大きく開かれていた漆黒の両翼が、ザフッという砂が崩れるような音とともに砕け散った。激しく歪む表情とともに、もはやブレーキのなくなった《ヒト》は家々の間の石畳の道路の上に、音を立てて落下した。

轟音とともに立ち昇る土埃と、陥没してできたクレーター。

その中心からゆらりと立ち上がる、異形と化した影。めり、めり、という音が響き、消えた翼が生えていた付け根の所から、さながら千手観音のように次々と細い手が生えてくる。

その色は様々。黒人のように真っ黒な腕から、白人のように真っ白な肌の腕もある。中には、水死体のごとく紫に変色した腕すらもある。

「……ゴロ………ズ」

ジュウ!とソレの踏みしめた地面が、強酸でもぶっ掛けられたかのように白煙を上げる。周囲の壁が強大な重力を浴びたかのごとくピシリ、とヒビが入った。血のように真紅の舌
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