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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第九話
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 いよいよ7月も終わりを迎え、世間の学生は夏休みを折り返すころ。海鳴市の海岸線沿いには屋台が立ち並び、まさに祭りの雰囲気。

「いよいよ本番か……」

 海鳴ロックフェス本番の朝。竜二はバンドメンバーを連れて、ステージの機材確認に来ていた。

「すごいこっちにはお金かけてますよね。どこが出資したんでしょう?」
「まぁ企業の回し者みたいなバンドも何組か見かけたし、大手事務所とかメジャーレーベルやない?デビューしたバンドは出られへんってのがまだ救いかな、これ」

 フェス開催は10時。この時間で行うということはもうギリギリの最終チェックだろう。

「俺ら結局ギリギリまでリハに参加できんかったしな」
「もっと早くにしたかったよなぁ……」
「すまん、俺のせいやわ」
「まぁ、あんな難しい曲選ぶからこうなったわけだしな」
「もうそれ以上言わんといてくれ……」

 竜二も痛感してはいるのだろう。ただしそれだけに十分、オーディエンスを盛り上げさせることができるはずだと信じてもいる。矢吹がA4用紙を見ながら話す。

「セトリの紙もらってきたぞ」
「そういや今回は何組きてるんや一体?」
「今日明日の2Daysで40組らしい。一日20組をどうやって回すのかねぇ」
「20くらいやったら回るんちゃうの?1バンド一曲と、あとはジャムセッションかなんかやるらしいし」

 夜の7時まで時間がとられているということはそういうことだろう。またこのジャムセッションに関しては当日の観客者投票と公式サイトのアンケートによってメンバーが組まれるらしく、決まっているのは曲のみで、割り振られるのは連絡が来るまで誰かわからないというとてつもなくギャンブル臭のするものなのだ。

「とすると、物販で気合入れてる連中が後半だとかわいそうだよな」
「まぁ、そんな連中は順番先に捻じ込んでるやろ。にしてもトリが俺らとかマジで笑えん」
「まあいいんじゃない?別に俺らはお祭り気分で来てるだけだし」
「せやな。よさげなインディーズやったら売り上げに貢献したらんでもないし」
「そうそ……ん?すまん、ちょっと外す」
「おう」

 矢吹が携帯を取り出すと竜二の下を離れ、神坂とアスカとの三人となる。

「バンドも観客も参加費無料とかとんだ大盤振る舞いやでな」
「その分審査厳しいんですよね」
「ああ。まぁ俺らはスクール生に声かければ観客つきのスタジオが使い放題やけど、普通は普段からライブハウスとかストリートとかの人前で活動してるバンドやなかったらこんなん出られへんからな」

 このイベントの参加要綱には「オリジナル楽曲の音源審査」があり、それをクリアしなければならないというものがある。最終審査はスタッフの前で生演奏をして、その上で認可を受けなければならない。
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