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インフィニット・ア・ライブ
第二話「入学 ~begin~」
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ニックムーブでも起こせるんじゃないか、と思える程の大音量に千夏は思わず耳を塞ぐ。

「生の千冬さんよ!」
「わざわざ佐渡から来たかいがあったわ!」
「父さん母さん、産んでくれてありがとう!」
「私も未来から来たかいがあったわ!」
「千冬さんhshs!!」
「ヤバい、濡れてきた」

 中には発言を疑うものがあったが。
 というかレズとか本当にいるんだなぁ、と知りたくもないことも知ってしまった千夏であった。
 当然、千冬は呆れるがそれに便乗して余計にMな子が目立つ事態となった。

「……はぁ。少しは静かにしろ!遅れて来た者が間もなく来る」

 それを聞いた瞬間に生徒達は黙る。

(そう言えば後から来ると山田先生が言っていたね。初日から遅刻とは良い度胸じゃないか。ある意味その神経の図太さに敬意を表するね)

 千夏がもう一人の『男性操縦者』を馬鹿にしていると、教室のドアがコンコンと叩かれた。

「すみません。遅れて来た者です」
「よし。入れ」

 ドアに向かって千冬はそう言うと、そのドアが開いて男と女性が入ってくる。
 その男に、千夏は目を見開くほど驚いた。なぜなら、その男は自分が見下し、二年前に殺した・・・筈の兄、織斑一夏にそっくりだったからだ。

「初めまして皆さん。実習生のエレン・M・メイザースです。趣味はカメラいじりと、写真撮影です。苦手なものは、落とし穴と姦しい三人娘です」

 一夏を見たショックで、一緒に入って来たエレンの自己紹介は、千夏の耳には入らなかった。

「初めまして、一夏・ウェストコットです。IS適性検査に見事に引っかかったのでこのIS学園に入学することになりました。宇宙人、未来人、超能力者がいたら、俺のとこに来い。以上です」

 この時、二人の織斑は叫びたかった。
 一方は、違う!お前は私の大切な弟の織斑一夏だ、と。
 一方は、ふざけるな!出来損ないのくせに手間をかけさせるな、と。

 ちなみに、張り切ってネタを入れたが、クラスの皆はスルーして容姿をもてはやしたため、一夏は器用にイスの上で体操座りをして拗ねてしまっていた。

 《精霊王》が降り立ち、歯車は軋む。彼に付き従うのは《精霊》。
 彼等が世界にもたらすのは、はてさて如何なる歪みであろうか。
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