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三つのオレンジの恋
第二幕その四
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第二幕その四

「こんな感じかしら。今度あの人とのデートはこれで行って」
「よし、今だ」
「ですね」
 二人は彼女がリボンに夢中になっている間に台所を出た。そうしてまた縄を使って城を後にするのだった。
 城を出てまた砂漠に入る。ところがここで二人は思わぬ事態に襲われてしまった。
 何とその持ち出した三つのオレンジがである。徐々に大きくなってきたのだ。まるで子供が成長するかの様に。
「あの、王子」
「ああ、また大きくなってきたね」
 道化師は一つ、王子は二つ持っている。怪力の王子は自分の身体程にまで大きくなったそのオレンジをそれぞれ肩に担いで持っている。
「また一段と」
「何なんでしょうかね、このオレンジ」
 道化師はそのオレンジを背中に担ぎながら言う。顔中汗だらけである。
「あからさまにおかしいですけれど」
「わからない。ただ」
「ただ?」
「これを国にまで持って帰らないといけない」
 王子は言うのだった。
「それは何としても」
「別に持って帰らなくてもいいんじゃないですか?」
 しかし道化師はこう言うのだった。
「別に」
「別にだって?」
「ええ。何しろ目的は果たしました」
 このことを話す道化師だった。
「ですから。もうオレンジは」
「別にいらないというのか」
「一番簡単な方法はですね」
 道化師はさらに言葉を続けていく。
「食べることですね」
「食べる」
「そうです、このオレンジをです」
 これが彼の提案だった。
「食べるんですよ。どうでしょうか」
「そうだな。食べればお腹が膨れるし」
「しかも荷物もなくなります」
 今はこれが一番大きな目的だった。
「荷物もです。ですから」
「それに喉も渇いたし」
 あまりにも重いものを熱砂の中で運んでいればだった。汗をかいてしまいそうなってしまうのも道理であった。そうならない方がおかしい話である。
「それじゃあ」
「はい、食べましょう」
 ここでまた言う道化師だった。
「早速」
「そうだね。では」
 二人はその三つのオレンジをそれぞれ砂漠の上に置いた。そうして王子がその腰の剣を抜いて最初のオレンジを斬った。するとだった。
「えっ!?」
「何と」
 その斬られたオレンジを見てまずは驚きの声をあげる二人であった。そこから出て来たのはオレンジの中身ではなく一人の少女だったのだ。少女は虹色の髪と瞳を持つ実に美しい少女であった。
 服は薄い白い服で今にも透けそうである。楚々とした外見でその顔立ちもまるで妖精の様である。奇麗に波がかった細い眉に切れ長の目、口は横に広く唇は薄い。そんな少女だった。
「オレンジの中から女の子が」
「どういうことなのでしょう」
「私はニネッタといいます」
「ニネッタ?」
「はい、妖精の国
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