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ジークフリート
第一幕その三
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第一幕その三

「全くな」
「全くだというのか」
「そうだ、僕は何でも自分でやる」
「とりあえずはじゃ」
 そんなジークフリートにまた言うミーメだった。言いながらあるものを出してきた。見ればそれは。
「食え」
「肉か」
「御前の為に焼いたのだぞ」
 こう言いながら鉄串に串刺しにした肉の塊を出してきたのである。
「御前の為に焼いたのだからな」
「僕の為にだっていうんだな?」
「そうだ。食え」
 また彼に告げる。
「何なら煮たものがいいか?それもあるぞ」
「それなら御前が食べろ」
 しかしジークフリートは彼の好意と見えるものにも素っ気無い。
「僕は自分で焼いて食べる」
「可愛がってやった仕打ちがこれか」
 またたまりかねた声を出すミーメであった。
「世話をしてやっているのにだ」
「まだ言っているのか」
 ジークフリートはその間に自分で肉を焼きはじめていた。
「そんなことを」
「いいか、わしは御前を赤ん坊の頃から育てているのだぞ」
「そういえば気付いた時には一緒にいたな」
「そうだろう?いつも育ててたんだぞ」
 このことを強調してみせてきたのだった。
「温かい服を着せて食べ物と飲み物をやり」
「これか」
 言いながら側にあった葡萄酒を口に含む。
「そういえば食べるものと飲むものはいつもあったな」
「それを手に入れるのも大変なのじゃぞ」
 恩着せがましく彼に告げていく。
「大きくなっても今みたいにだ」
「世話をしているというのか」
「寝床だってあるじゃないか」 
 今度言うのはそれだった。
「おかげで気持ちよく寝られるだろう」
「僕は何処でも寝られるんだけれどな」
「それにおもちゃを作ってやって角笛だって作ってやった」 
 今その角笛は彼の腰にある。その角笛を見ながらの言葉だった。
「それだってな」
「頼んだ覚えはないけれどな」
 言いながら焼けた肉にかぶりつく。強い仕草で引き千切って口の中に入れる。
 そして噛みながら。ミーメの話をとりあえず聞いていた。
「僕はな」
「色々なことを教えてやった。文字だってな」
 見ればあちこちにルーン文字もある。
「思慮深い言葉も教えたしわしの知っていることを全て教えた」
「まあそれはね」
「何か一つ欠けてる気がするけれど」
 ここで動物達が言った。
「それは何かな」
「ちょっとわからないけれど」
「御前が遊び回っている時にわしが汗水流して作ったりしていたのだぞ」
「だから頼んだ覚えはない」
「この苦労の報いが思いやりのない御前からの仕打ちだ。何ということだ」
「では言おうか」
 肉を食べながらここで彼に顔を向けてきたジークフリートだった。
「僕からも」
「何だ?」
「確かに御前には色々と教えてもらった
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