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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第一話
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    IFの物語・二十一話以降(第一章)

 地が煙る。巻き上げられた土煙は辿ってきた軌跡を描き、次第にまた降り積もっていく。
 放浪バスの中から見た世界は酷く簡素で静かだ。どこまでも続くように思える荒れた地平。切り立った山。
 何の変哲もなく、窓から見える世界は透き通って見える。ちょっと外に出て深呼吸、なんて錯覚さえしてしまいそうだ。ひと呼吸でもすれば肺がやかれる物質がそこにはあるなど、想像もできない。

 汚染物質によって荒れた大地。汚染獣という存在が世界の覇者となり跋扈する世界。それがこの世界だ。
 肌を覆わねば十分と生きられぬ汚染された世界。生み出された対策は二つ。汚染獣に対抗できる“剄”という超常的な力を持った存在である武芸者。そして人が生きる場所である自立型移動都市(レギオス)という動く大地だ。

 レギオスにはいくつか形態がある。基本とする形は同じながら持つ役割が違うのだ。
 都市を動かす存在である『電子精霊』を産むとされているシュナイバル。都市間の唯一の交通手段である放浪バスを統括するヨルテム。そういった特例を始めとし、人が生きる機能を備えた標準型や何かに特化した都市など様々だ。
 その内の一つに学園都市、というものがある。未熟な子供が集まり学問を学び、あるいは夢を追いかけあるいは恋人を作り将来を見据える切っ掛けを掴む場所だ。

 大小様々な校舎群を中心に様々な専門施設が建立されている一つの都市。住む、のではなく、必ず去る過程、として必要とされる一時のモラトリアムの場所。
 積み上げたものをその身にだけ纏い、それ以外を置いていく場所。数多の生の残滓が刻まれ積み上げられた都市。

 レイフォンたちが降り立ったここはそんな場所の一つ。
 名を、学園都市ツェルニと言う。





「まず何しましょうか?」

 荷物を持つ手を一定のリズムで揺らし、楽しげな雰囲気を全身で表しながらクラリーベルが言う。
 バスの中で聞いたが、クラリーベルにとって都市の外に出るのは初めてのこと。目的地について浮かれているのだ。その声も「何をするべきか?」という疑問ではなく「何をしよう?」といった期待に彩られている。
 レイフォンと、変則的だがアイシャは既に他都市に行くということを経験している。期待もあるが二人にとってはまずすべきである作業的な事柄が頭を占めている。
 
「まず住む所ですね。ずっと宿に泊まっているわけには行きませんし、動く拠点を見つけるのが大事です」
「寮とかマンションとかありましたよね」
「余り、高いところは駄目だと思う。早く動いたほうがいいよ」
「お金は気にしなくていいですよアイシャさん。従兄弟のお金ですからじゃんじゃん使ってください二人共」
「いや、それは気にします」

 三王家の
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