暁 〜小説投稿サイト〜
Another World
第一話「転生ですか? はい大好物です」
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
源を落とす。


 ――魔王ザイオンは倒したし、セーブもした。やり残しはないな。そろそろ向かわないとジジイの血管が切れて脳出血になっちまう。


 ジジイの小言はは長いからなぁ、とぶつぶつ呟いているとキュリアが外套を手渡してくれた。礼を言いつつバサッと格好良く羽織る。


「んじゃあ行くかな」


「はい」


 従順なメイドを引き連れた俺は自室の重厚な扉を開け放った。





   †                    †                    †





 浮遊神城ラナハイム。最高神レンバルトが住まう城で俺の家でもある。


 全六階層になっており、神城の大きさは言い表せない。全長五十キロと言えばわかるだろうか?


 そんな超巨大な城の一画、レッドカーペットが敷かれた豪奢な廊下を俺とキュリアが闊歩する。カーペットにより足音は消され無人の廊下を音もなく進んでいた。


 ここラナハイムは天上の世界のど真ん中にあり、天上界の象徴だ。


 ――天上の世界、または神界、天上界と呼ばれる世界を人々は天国と称する。この世界には神や天使、死して冥王に認められた者が住まい共存している。


 とはいっても上下関係は明確であり、神が天人――死して天界に来た魂――の上に立つのがこの世界の常識だ。


 神と天人の関係は良好だ。多くの神は天人や人間の信仰が無くては存在できないし、世話をしてもらわなければ生きていけない程、生活力は皆無。天人は神に加護を授かったり神力を与えてもらったりしている。言わばギブアンドテイクというやつだ。


 もっとも? 一部例外として加護を必要としない神も生活力が高い神も存在する。前者は個として存在を維持できるほどの力を持つ者で、後者は真面目な性格だとか、環境だとか、教育だとかそんな感じ。ちなみに俺は両者とも当て嵌まるから、ドヤァと得意気な顔をしても良いと思う。


 俺は一万年前、この天上の世界に神として転生した。なんでも最高神であるジジイに気に入られたらしく、死した魂が冥府に行こうとしたところを拉致られ、転生して息子にさせられた。ちょっと理不尽な気もするがジジイには感謝してもしきれないため気にしないことにしている。


 転生した当初は力もなく、ジジイの義理息子という肩書だけしかなかった。だが、千里の道も一歩から、塵も積もれば山となる、生前の確言を胸に地道に信仰を集めて力を溜めた俺は、今では序列が三位となった。


 序列というのは神としてのランク、格のようなものである。下界――人間界――に対する貢献度だったり個の実力だったりで総じて評価される。


 数多の神々や天人がいる中で序列に連なる者は三百名
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ