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ヴァレンタインから一週間
第20話 有希の任務とは?
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 見慣れたコタツと、昨夜より外からの視線を遮るように配置された有り触れたレースのカーテン。その外側には厚手のシンプルな花柄のカーテンがその存在を強く主張している。
 そして其処から視線を転じると、以前の彼女の部屋には存在して居なかった薄型の液晶テレビが、俺の背後の大き目のテレビ台の上に存在していた。

 しかし、それだけ。この部屋はその主に相応しく、余計な装飾品の類が存在しない……。その主人の如く未だ何色にも染まってはいない、真新しい白を基調とした空間がただ広がって居るだけの部屋で有った。

 今夜で三回目の夜。いや、この部屋で過ごすのは初めてなのですが、何故か、外出から帰って来た時に、本当の我が家に帰って来たような気分に成るのは、俺が彼女の雰囲気に慣れたのか、それとも、彼女の部屋が俺の()に染まったのか。
 いや、これは間違いなく、有希の部屋が俺の気に染まっていると言う事でしょうね。

 何故ならば、この部屋の主は有希。そして、一時的とは言え、その彼女の主人格と成って居るのは俺。
 更に、この部屋の精霊はすべて俺が支配下に置いて居ます。

 つまり、法的、人間レベルではこの部屋の主人は有希ですが、
 霊的存在の目線から言うと、この部屋の主は俺。
 そして、気分と言う物は雰囲気。雰囲気と言うのは霊的な部分に支配される物ですから、外から帰って来た時に、この部屋が自らの家のような気分に成ったとしても不思議では有りませんから。

 微かに洗い髪の香りを周囲に漂わせながら、少女は、本日、図書館から借りて来た重厚な装丁の書籍に視線を送って居る。
 室内は炎の精霊に因り心地良い気温が保たれ、静かな真冬の夜と合いまって、この部屋は非常に落ち着いた雰囲気に包まれる世界と成っていた。

「なぁ、有希」

 必要最小限の家具しか設えられていない部屋故に、妙にエコーが掛かった声でこの部屋の主人に声を掛ける俺。
 時刻はそろそろ今日と明日の境界線を示す時刻。尚、今晩から俺は彼女と同じ寝室で眠る必要などなく、客間として使用される和室に布団を敷いて眠る事と成る予定と成って居ます。

 普段通り、俺を真っ直ぐに見つめる事に因って答えと為す有希。これは、俺の話を聞く準備は出来ている、……と言う彼女の言葉に成らない答えの形。
 それならば、

「オマエさんの造物主。情報統合思念体について話して貰っても構わないか?」

 一番聞きたかった内容について問い掛ける俺。
 当然、高次元意識体らしい存在と言うモノにも興味が有りますし、更に、彼女の造物主と言う存在についても非常に興味が有ります。

 それに……。

 確かに、三年前の事件を見逃した事については、地球の人類に取っては問題が有りますが、それは地球人から見た時の評価で有っ
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