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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
14 「★★★★『女王リオレイアの狩猟』」
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 カエンヌ・ベルフォンツィと名乗った男が身に纏うのは、空の王者リオレウスの赤。背中には白と黒のコントラストに、ところどころ琥珀色の刃が見られる大剣が背負われている。素材から氷牙竜ベリオロスからつくられた大剣とみて間違いないだろう。確か、砂原のクルペッコを狩りに行っていたのだったか。それにしては帰りが遅いとここ最近エリザが心配そうにぼやいていたのを思い出した。
 全身にレウス装備、武器はベリオロスの大剣と、なかなか腕が立つのは確かなようだ。見た目はナギよりいくらか上、30になったかならないかくらいとまだ若く、優秀であることが伺えた。

(ところで…)

 ハンターがモンスター以外に狩猟武器を向けるのは御法度なので、ここでやりあう場合素手での勝負となるわけだが、なぜこの村の住民及び湯治客はわいわいと楽しそうに野次馬しているのだろうか。下手したら攻撃の余波をくらって骨の1本や2本普通に折れるかもしれないのに。ハンターの膂力を馬鹿にしてはいけない。
 まだカエンヌからの挑発を受けただけで、こちらはウンともスンとも言っていないのにもかかわらず、村人の一部(というか彼らはまず間違いなくハンターズギルドの職員だ)は公に賭けを始めている。こっちは嫌そうな顔をしているというのに。おまけに明らかにレートがおかしい。皆ことごとくカエンヌに賭けている。なぜ。

(あ、そりゃそうか)

 こっちはハタチもそこそこの若造で、麻の着流し+羽織。背中には(一般人から見れば)折れそうな細い剣。対してあちらはゴツい剣士装備プラス背中には重量級の大剣。素人目にどちらが強そうか聞かれれば、誰だってカエンヌだと答えるだろう。
 止めをさしたのは横にいるリーゼロッテだった。きらきらと眩しい瞳でこちらを見つめると、会心の笑顔で懐から先ほどの900zを取り出す。まさか。

「わたし、エリザの分と一緒にナギさんに賭けてきますから! 絶対負けないでくださいね! し し ょ う!」

(…え。ええええ――)

 ここぞとばかりに「師匠」と念押しするリーゼ。この場からくるっと逃避する気満々だったナギだが、知らぬ間に逃げ道は塞がれていた。ここで負けたらリーゼロッテはともかく、エリザには何を言われるかわからない。

(仕方ない…サクッと終わらす)

 普通にしゃべれるようになったのは飽くまでリーゼロッテとエリザのみだ。穏便に終わらせたくとも先方は納得しないだろうし、そもそもナギは弁が立つ方ではない。そうだったら山奥で暮らすなんて不便なことはしない。
 力技に結局出ることになると、ナギは溜め息をつきながら背中の太刀をあえて床に置いた。できればこの太刀の素材を見て彼に自分から引いて欲しかったのだが、鼻で笑われて終わった。なんだかイライラしているようだ。待ちきれないように拳を手の
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