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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第62話 海軍食の基本と言えば?
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「あの神官は、この両用艦隊旗艦ビュッセンタウル号の従軍神官で、アラメダ司祭。元々、何処かの貴族の次男だったけど、ロマリアの神学校に行って神官の道を進んだ人だったかな」

 気の良い先輩のヴェルーニー海軍士官が、俺の質問に対して疑う様子も見せずにそう答えてくれました。
 成るほど。ガリア両用艦隊旗艦の従軍神官ですから、矢張り、貴族出身の神官と言う事に成るのですか。

 確か、以前にタバサに聞いた話に因ると、ブリミル教の神官への道は、表向きは貴族も、そして、平民にも分け隔てなく開かれているのですが……。実は、内側に関してはそんな事もなく、平民出身の神官には出世の道など開かれる訳もなく、位の高い神官位は、すべて貴族出身の神官で占められている、と言う事でしたから。
 そして、そのアラメダ司祭はガリア両用艦隊の旗艦の従軍神官ですし、この艦隊の提督は、敬虔なブリミル教信者として有名なビルヌーブ提督ですから、貴族出身のブリミル教の神官ならば、身近に置いたとしてもそう不思議では有りませんか。

 まして、あの神官に関しては見た目から推測すると二十代半ば程度。その年齢で、ガリア両用艦隊旗艦所属の従軍神官ならば、これから先もそれなりの地位に昇って行く神官だと思います。更に、元々の出自もそれなりに高い爵位を持つ家の可能性も有ります。ならば、ビルヌーブ提督個人と何らかの繋がりが有ったとしても不思議では有りませんでしたか。

 ただ、アラメダ司祭。何処かで聞いた事の有る名前だったとは思うのですが……。

「それに、確かかなりのチェスの打ち手でも有ったかな」

 そう言ったヴェルーニーが、俺の問いに対する答えを終えると同時に、その歩みも止めた。
 そして、

「ここがオマエさんに与えられた部屋だ。流石に、一人部屋と言う訳には行かないけど、そんなに妙なヤツもいないから身構える必要はないぜ」

 そう言いながら、ひとつの扉を開く。
 その扉を開いた先に存在する部屋はと言うと……。
 部屋自体は、正にウナギの寝床。奥に向かって細長い部屋の両方の壁に二段ベッドが設えられて居り、個人のスペースは、おそらくそのベッドだけ。
 そして、その俺とヴェルーニーが覗き込んでいる扉から見て、左側の下のベッドの上にちょこんと座ったセーラー服姿の少女。湖の乙女(ヴィヴィアン)が普段通り、世界に何が起きて居ても自分には関係ない、と言う雰囲気で、和漢に因って綴られた書籍を紐解いていました。

 尚、彼女も既に魔将アガレスの職能に因り日本語を学んで居るのか、タバサと同じようにハルファスに因って調達された日本製の書物を紐解くように成って居ります。
 確かに、このハルケギニア世界の娯楽は少ないですし、俺が深層心理から、俺の望んだ姿形を選んだ存在ですから、読書好きと言う点
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