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ALO:フェアリィ・ダンス〜両刃の剣と天駆ける龍〜
世界樹へ《4》両刃の正体
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 先ほどまで湧いていたスレイヴ・プレイヤーたちは、セモンの両剣によって、ただの一体残らず駆逐された。

 それほどまでに、《双剣》の力は凄まじかった。

「な、なんて…威力…」
「グリヴィネ、こいつは一体…。それにシャノンが作ったって…」
「……お話します」

 グリヴィネは、語り始めた。


                      *


 シャノン兄様は、SAOから帰還した後、SAOプレイヤーうち300人がいまだに帰還していないのを疑問に思い、SAOと関係のありそうなところを片っ端から調べていきました。

 たどり着いたのはALO。シャノン兄様はそこで、アーガスの代わりにSAOを管理していたレクトプログレス、という会社の責任者、須郷伸之が、自ら《オベイロン》としてゲームマスターとなっていることを知りました。それに、世界樹の上に伝説の都なんてないということに。妖精王は偽りの王で、妖精郷の妖精たちは、偽物の妖精王に騙されていると。

「…!じゃあ、世界樹の上に辿り着いたものは上位妖精にしてもらえるっていうのは…」

 はい。嘘です。

「ひどい…それがGMのすることなの?」
「許されないぞ…」

 話を戻しますね。

 兄様は須郷がこのALOにSAO未帰還者たちを閉じ込めて行っている、非道で凶悪な実験を発見しました。

 
 それは、人間の脳の記憶処理部を改ざんし、人格や思考を乗っ取る、というものです。


「―――――――――――!?」
「なにそれ!…信じられない、そんな…」

 
 シャノン兄様も憤りを感じ、すぐに研究を破壊しようとしましたが…さすがにそれは無理だったようです。研究資料は、恐らくですが、アメリカのとあるハッカー企業の作ったプロテクトによって守られている、と。


「アメリカのハッカー企業…?いや、なんでもない。続けてくれ」


 兄様は、ALO内のデータを調べるうちに、見覚えのあるパターンのデータを発見しました。セモンさんは知っているはずです。…そう、茅場晶彦の亡霊。

 彼からALO内へのアクセス権限のコピーを譲り受けたシャノン兄様は、データ改変に乗り出しました。自身のアバターデータを改造し、あらゆる妨害工作に耐えうる形に変えて…。


「それでプロテクトは突破できなかったのか?」

 
 残念ながら、プロテクトはALOシステムとは全く違うところに本体が置かれているようで…。兄様が対策したのはあくまでもALO内データですから。それに、ALO内のデータにアクセスするだけでは、プロテクトを破壊できません。

 兄様はデータ内に、とある異常物体を入れ込みました。ALOの根本を揺るがす、須郷の《モンスター化計画》を阻止するために。


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