暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode4 魔法の世界の洗礼2
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んなにあからさまに挑発されて、引き下がる理由は今の俺にはない。

 (そう言えば、『全損モード』での決闘は、二回目、か……)

 互いに無言のまま始まる、決闘開始のカウント。
 減っていくカウントに、微かな感慨を感じる……が、それも途中まで。

 カウントが残り三になったあたりで、俺の思考が切り替わる。同時に、もうすっかり体に馴染んだ構えとなった、両手をだらりと下げた姿勢をとる。夕日は既に、幾筋かの残光を残して地平線へと落ちている。もう少しすれば『暗視』のスキルが必要になるかもしれないが、まだ視界が悪くなるほどではないし……そこまで長引かせるつもりもない。

 「はっ!!!」
 「……!!!」

 表示される、DUELの文字。
 と同時に、一気に地面を蹴っての加速。

 だがその突進は、

 「っ!?」

 接敵の目前で阻まれた。

 「呪文(スペル)、か……!」

 俺のスピードでも、相手が一音節早口で呟くのには敵わなかった。生じたのは、縦横共に人間大の、地面から伸び出た泥の壁。防御を得意とする土属性の魔法の、初級の防御呪文だ……が、初見の俺には咄嗟にそれを理解できない。咄嗟に、突進の勢いを回転の力に変えての回し蹴りを打つ。

 (くっ、硬い……!)

 泥壁くらいはあっさり砕けるだろう考えたものの、その防壁は予想外の硬さで俺の脚の一撃を、罅割れつつも防いだ。舌打ちして一旦突進の勢いを殺し、回転の勢いを生かした手刀……《スライス》と呼ばれた一撃で壁を破る。

 ……ああ、何故俺はこの時、この壁を迂回しようと思わなかったのか。

 「っ!!?」

 壁を砕いた瞬間に見えたのは、女の周囲に浮かんだいくつもの雪玉。
 ゆらゆらと揺らぐそれらは、空中で一瞬だけ制止し。

 『予想通りですね』
 「っ、うおおっ!!?」

 直後、無慈悲なウィンドウの言葉と同時に俺目掛けて一斉に殺到してた。


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