第四章
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第四章
「本当にね」
「私エルネスト様のことが」
「私はエックリーティコさんが」
二人はそれぞれ言うのであった。
「好きだから」
「是非結ばれてね」
「この家から出たいわ」
「全くよ」
そしてこう話すのであった。
「御父様って私達を何時までも子供扱いして」
「もう大人なのに」
「だからもういい加減に家を出たいのだけれど」
「何かいい考えはないかしら」
困った顔で言うフラミーニアだった。
「本当に」
「そうね。こういう時エックリーティコさんはいつもいい知恵を出してくれるけれど」
「何があるかしら」
そんな話をしながら考えていた。するとそこにブオナフェーデが来た。小柄で黒い髪を後ろで束ねたアーモンド形の瞳の可愛らしい女の子にあれやこれやと話しかけている。女の子は黒と白のメイドの服を着ている。頭にはメイドの白い帽子がありそれで完全武装にまで至っていた。
「それでリゼッタよ」
「はい、旦那様」
「月の世界というのはじゃな」
「お年寄りに優しい世界なのですね」
「そうじゃ」
満面の笑顔で身振り手振りも交えてあれこれと話している。
「そこに行けばじゃな」
「それでですけれど」
ここでそのリゼッタが彼に言うのであった。
「一つお伝えすることがありまして」
「んっ、何じゃ?」
「今日はお客様が来られます」
「はて。客人とな」
「エックリーティコさんです」
彼だというのである。
「今日来られますけれど」
「おや、そうじゃったのか」
「どうされますか?」
こう彼に問うのであった。
「御会いになられますか?」
「勿論じゃ」
満面の笑顔で応えるブオナフェーデだった。
「ではすぐに呼んでくれ」
「わかりました。それでは」
リゼットは一礼してすぐにその場を後にした。ブオナフェーデは彼女の姿を見送る。そのうえで丁度そこにいた娘達に声をかけるのであった。
「おお、それでじゃ」
「はい」
「御父様、何でしょうか」
「御前達にプレゼントがある」
にこにこと笑って懐からあるものを取り出してきた。それは。
「さあ。二人仲良く食べるがいい」
「仲良くって」
「これって」
「飴じゃよ」
見れば確かにそうであった。飴そのものだった。それを二人の前に出してきたのだ。
「さあ、二人でのう」
「二人でって」
「あの、御父様」
「何時までも仲良くのう」
優しい笑みを浮かべて娘達に話すのだった。
「ずっとじゃ。何時までものう」
「それはわかっているけれど」
「それでも。飴だなんて」
「嫌いか?」
「好きよ」
「それでもよ」
口を尖らせて父に抗議するのであった。
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