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世界樹へ《2》 迫る邪悪
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みたください」

 よくわからなかったが、とりあえず動かしてみることにしたセモンとコハク。

「こ、こうか?」
「難しいわね…」
「お二人とも、お上手です。では、そのエネルギーを使って空へ飛びだすイメージ…翅を広げて地面を蹴って!」

 言われるままに地面を蹴る。すると―――――


 ズバァァァアアアアアアア――――――――ン!とすさまじい音を立てて、体が浮き上がった。

「うおおおおぉおおおぉおお!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「二人とも!翅を広げて!ブレーキをかけて、グライダーのように風に乗ってください!!」

「こ、こうか!?」

 両手を使ってバランスをとると、何とか浮かぶことができた。

「ふぅ―――――――――何とかできたわね」
「し、死ぬかと思った…」
「びっくりしました。二人ともあそこまで推進力が出るとは…。では、今度はその翅を少し震わせながら、前に進んでみましょう」

 すい〜っと、こちらは優雅に進んできたグリヴィネが、翅を震わせて前に出る。飛行体制になり、

「目指すは、世界樹イグドラシルです」

 
 彼方にそびえる世界樹に向けて、三人は飛行を開始した。


                      *


 世界樹のてっぺん近く。金色の鳥かごの近くに、黒い服に黒い髪、真紅の竜翼と竜尾を備えた男…ハザードが現れた。

「ご苦労だったね、《ファーヴニル》」
「グルルルル……」

 鳥籠の中にいた美貌の妖精王は、やってきたハザードに声をかけると、いとしい妖精女王の方を向いた。

「どうだいティターニア。これがボクの実験の成果さ」
「ひどい…こんな…須郷、今すぐやめなさい!」
「やめる?そんなことするわけないじゃないか。このシステムは明日の臨時アップデートで実装する。HPが0になったプレイヤーは、一定確率でアバターのコントロール権限を奪われてモンスター化。また、このモンスターに敗北したプレイヤーも100%モンスター化する。まるでバイオ〇ザードだよ」

 はははは、という愉快そうな声をあげて、妖精王は笑った。


「さぁ、ボクのアルヴヘイムは、どんな混沌を見せてくれるかな…ハハハ…アハハハハハ、ア―――――ッハッハハハハハ!!!」


 妖精王の高笑いは、いつまでも続いた。
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