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トゥーランドット
第三幕その三
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第三幕その三

「まさかこれ程簡単に謎を知ることが出来るとは思いもよりませんでした」
 トゥーランドットはそう言いながら階段をゆっくりと降りてきた。
「ですがこれも天の神々の思召。私に謎を解けという」
 そしてカラフ達の前に降りて来た。カラフはその白い顔を見た。
「無謀な若者よ」
 彼女はカラフに顔を向けて言った。
「今貴方の命が尽きる。覚悟はよろしいですね」
「・・・・・・・・・」
 カラフはトゥーランドットを見据えた。だが言葉を発することは出来なかった。
 死ぬのは怖れはしなかった。ただ愛を、勝利を手に入れることが出来ないことだけが心残りなのだ。
「その顔も今は蒼ざめている」
「・・・・・・・・・」
 カラフはやはり言葉を発せられない。負けたのか。いや、彼の意志はそれを許さなかった。
「いや、違う」
 カラフは口を開いた。
「私は貴女を必ず手にする」
 毅然として言い返した。
「この期に及んでまだそのようなことを」
 トゥーランドットはその整った唇に微かに冷笑を浮かべてそう言った。
「貴方の謎を私は今知ろうとしているというのに」
「それは出来ない。何故なら私の名は誰も知らないからだ」
 カラフはその冷笑に気圧されることなくそう言った。
「相変わらず気の強いこと」
 彼女はそれに対して再び冷笑した。
「だがその強気も何時まで続くことか」
 そう言うとティムールとリューに顔を向けた。
「貴方に聞かずともこの二人に聞けばいいだけだというのに」
「まさか・・・・・・」
 それを見てカラフと彼を支持する者達は顔を蒼ざめさせた。
「さあ、言いなさい。この若者の名を」
 トゥーランドットは二人を見据えて言った。まるで全てを圧する様な目であった。
「それは・・・・・・」
 リューはその目に気圧されそうになった。だが必死にそれに打ち勝とうとする。
「答えなさい」
 トゥーランドットはさらに言った。
「娘さん、言うんじゃない!」
 カラフを応援する市民達が彼女に対して言った。
「そうだ、あんたも辛いだろうがここは耐えてくれ!」
「お黙りなさい!」
 しかしそんな彼等をトゥーランドットが一喝した。その冷たい声と目を見て一同は沈黙してしまった。
「この世で私を意のままに出来るものはない。例えあの月でさえも」
 月は黄金色の光を放っている。彼女はそれを満足気に見た。
「答えなさい。知っているのか知らないのか」
 彼女は再びリューに対して問うた。
「知っています・・・・・・」
 リューは力ない声で答えた。
「よろしい」
 トゥーランドットはそれを聞くと口の両端を微かにほころばせた。
「けれど・・・・・・」
 リューは一瞬顔を右下に伏せた。そして再びトゥーランドットの顔を見上げた
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