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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode2 懐かしき新世界へ3
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を聞くが、俺はその一般例にはあてはまらずに順調に成長を続け、SAO開始時の身長は実に百八十五センチに達しようとしていた。

 街を歩けば視線に苦労はせず、道に迷えばみんなの目印。花火を見に行けば人より見やすく、バスに乗ったらチラシが当たらないように身を屈める。そんなそれなりの便利さと不便さを併せた生活を、俺は結構昔から当たり前のように送っていた。

 そんな俺が。

 「下手すると、百五十くらいか……? ははは……」

 どこからどうみても、チビすけだった。

 ここまで我を忘れてきてしまったのも頷けるだろう。いや、きと頷いてくれる。いや、誰が頷くのか。全世界の高身長の皆さんだろう。いや、逆に小さい人も頷いてくれるんじゃないか? というか俺は今いったい何を考えてんだ?

 「……ってか、ここどこだよ……? 結構街から来ちまったぞ……」

 ほんの少しだけ正気に戻りかけたかもしれない……そんな思考で、周囲を見回す。

 寒冷地に多く見られる針葉樹森は、ここが既にノーム領寄り……つまりは、プーカの領外まで来てしまったことの裏付けと言えるだろう。領外では異種族間ならキル推奨、というハードなタイトルのこのALOで、まともに装備品や所持アイテムすら確認していない状況はよろしくない。

 いや、正直ゲーム開始直後だし、死んだって特に問題はないのだが。

 「いや、でも、それにしても……まじかぁ……」

 深々と溜め息……これで、もう何回目か数えてねえ。
 それにしても引き摺りすぎだろ俺。

 しかし、今にして思い返してみれば、これは結構精神安定上良かったかもしれない。

 いや、別に森林浴の効果を実証したいいわけでは無く、こんな馬鹿な理由で頭を抱えていられたからだ。もしあのまま、あの世界を……ソラのことを考えたままだったら……もっとひどく正気を失っていた老。最悪、発狂してしまっていたかもしれない。確かに言えるのは、とりあえずあれほど落ち着いては居られなかったろう。

 だが、まあ、この時は本当に縮んだが深刻だったわけで。

 「どうすんよ……もっかいアカウントとるか……? でも追加料金……」

 俺はなおも、そんなことに悩み続けた。一体何分悩んでいたのかは、自分のバカさ加減を晒すだけなので控えておこう。というか、正直正確には覚えてすらいないのだが。

 その思考を断ち切ったのは。

 ……ッ!…っ…ぉっ!!…
 …っ!………?
 ……………!!!

 鍛え上げられた危機察知能力の捕えた、森の奥からの話し声……いや、怒鳴り合いの声だった。

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