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魔弾の射手
第三幕その三
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第三幕その三

 その頃婚礼の場でもある大会の場所では猟師達が集まっていた。そして領主である侯爵オットカールを囲んで酒を楽しんでいた。
「皆の者」
 気品のある長身で口髭を生やした髭と同じ黒い髭の男が猟師達に声をかけていた。彼がその侯爵オットカールその人である。
「今日は楽しもうではないか」
「はい!」
 彼等は杯を掲げてそれに応えた。
「この世で狩人の楽しみに優るものはなし、生命の杯は絶え間なく誰に向かって泡立ち溢れるのであろうか。それは最早言うまでもない」
 彼等は口々にこう言った。
「角笛の響きを聞いて緑の野を進み、森や沼を越えて鹿を追う。これこそ男の憧れであり王者の楽しみだ。身体は鍛えられ、食事は旨い。森や岩山が我々を出迎えその中に入る。そして全てが終わった後我等はこうして酒を共に楽しむ!」
 そしてその酒を一斉に口にした。
「狩の女神アルテミスが我等を護る。そして我等は誇り高き狼や猪をも倒す。これが王者の楽しみでなくて何と言おうか!」
「うむ、全くその通りだ」
 オットカールは彼等の声に目を細めていた。
「そして今日はそれだけではないぞ」
「はい」
 猟師達は彼の言葉に頷いた。
「素晴らしい婚礼がある」
「マックスの」
 皆オットカールの言葉に頷いた。
「その通り。私は今日という日をどれだけ待ち望んだか。私は二人が小さい頃から知っている」
「はい」
「クーノよ、覚えているな」
 ここでクーノに声をかけた。
「はい」
 彼はそれに応えた。
「忘れる筈もありません」
「そう、私がまだ髭も生えていない頃マックスもアガーテもほんの子供であった。その頃からマックスは凛々しく、アガーテは可愛らしかった」
「はい」
「幼いアガーテが狐に追いかけられている時にマックスが助けに入った。弓で仕留めたのだ」
「偶然側にあった弓で。あれは驚きました」
「それを見て思ったのだ。この二人は将来きっとこの村で名のある二人になると。そしてこの二人は結ばれるべきだと」
「つまり二人はその時から結ばれる運命だったのですね」
「私はそう思う」
 オットカールは猟師の一人の言葉に頷いた。
「そして今日のこの日だ。ようやく来たと言うべきか」
「はい」
 クーノはそれにまた頷いた。
「私もどれだけ待ち望んだことか」
「そう、ではそろそろはじめるか」
「試験射撃を」
「マックスはいるか」
「彼は」
 見れば森の中からやって来る。カスパールはそれを一同の端から見ている。
「おお、来たか」
「はい」
 マックスはオットカールの前にやって来た。
「申し訳ありません、遅れてしまいました。準備に手間取ってしまいまして」
「よい。準備がなくては何も出来はせぬからな」
 彼はそう言ってマックスを許した。

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